Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第64回:法制度とOSINTのグレーゾーン

Hello there, ('ω')ノ

〜「公開されているからOK」では済まされないライン〜


🧠 OSINTは“合法”か?

OSINT(オープンソースインテリジェンス)は、その名の通り公開情報のみを対象とする調査です。 しかし、「公開=自由に使ってよい」わけではありません。

利用目的、収集方法、共有範囲によっては、法的なリスクを伴う可能性があります。


🔍 OSINTに関係する主な法制度(日本)


法制度 関連内容
個人情報保護法 氏名・メール・顔写真などが「個人情報」として保護対象に
著作権法 画像・文章・プログラムコードの無断利用は違法に
不正アクセス禁止法 パスワード推測・突破による非公開情報へのアクセスは禁止
名誉毀損・侮辱罪 調査結果の不適切な公開で名誉侵害になる可能性
労働法 採用候補者のSNS調査で“差別的評価”にならないよう配慮

⚠ OSINTのグレーゾーンになる典型例


✅ 1. 鍵付きSNSの情報収集

  • X(旧Twitter)やInstagramで非公開アカウントに対し、偽名で申請して調査 → 明示的な同意なしに接触した場合、プライバシー侵害や倫理違反に該当する可能性

✅ 2. スクレイピングによる大量取得

  • Webサイトから自動で情報を取得する際、利用規約に違反することがある
  • サーバーに負荷をかけた場合、「不正指令電磁的記録供用罪」に問われるリスクも

✅ 3. 過去の炎上投稿・報道歴の取り扱い

  • 正当な事実でも、“必要以上の拡散”や“再利用”によって名誉毀損に問われるケースあり
  • 特に採用活動や社内調査での使用には慎重を要する

🛡 安全にOSINTを実施するためのポイント


対策 内容
利用目的を明確化 「なぜ」「誰が」「何のために」調査するかを記録・管理
収集対象を限定 公開設定の情報、機密性の低い項目に絞る
結果の取り扱いを制限 内部利用のみに留め、外部公開は慎重に判断
法務・コンプライアンス部門と連携 OSINT調査を正式な業務として運用し、事前確認のルールを設ける

✅ 海外との違いにも注意

  • GDPR(EU)やCCPA(米カリフォルニア州)など、地域によって個人情報保護の基準が異なる
  • 国際的な調査を行う場合は、対象地域の法制度にも適合する必要があります

✅ まとめ:“調べる自由”と“守る責任”はセット

  • OSINTは強力な情報手段だが、法制度と倫理の理解なしには危険な行為にもなり得る
  • 「バレなければOK」ではなく、「いつ誰に説明しても正当といえるか」が判断基準
  • 組織として、グレーを白黒つけるためのポリシーと教育が不可欠

Best regards, (^^ゞ