Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第60回:OSINTポリシーの作成と運用

Hello there, ('ω')ノ

〜調査に必要なのは、ルールと信頼〜


🧠 OSINTは“便利”だが“リスクも伴う”

OSINT(オープンソースインテリジェンス)は、 公開情報を収集・分析することで強力な洞察を得られる手法ですが、 調査対象や方法を誤れば、法的・倫理的な問題に発展することもあります。

📌 「どこまで調べてよいのか」「何に使うのか」を定めるOSINTポリシーが、企業運用には不可欠です。


🔍 OSINTポリシーとは何か?


OSINTポリシーとは、 組織内でOSINTを使用する際の目的・手順・制限・責任範囲などを明文化した文書です。

項目 目的
利用目的の明確化 監視対象・対象者・目的(例:脅威検出、ブランド監視)
手法の制限 非侵入的な調査、合法的な手段のみを使用する
扱う情報の種類 個人情報、センシティブデータの範囲と取り扱い方
ログ・証跡管理 いつ・誰が・何を調べたかの記録義務
内部共有と開示 調査結果の配布範囲と再利用制限

🛠 ポリシー作成に必要なステップ


✅ 1. 対象業務・部門の整理

  • OSINTを用いるのはセキュリティ部門?採用?マーケティング?
  • 業務ごとに必要な情報・調査範囲が異なるため、目的ベースで分類

✅ 2. 関係する法令・ガイドラインの確認

  • 個人情報保護法、GDPR(EU圏対象の場合)
  • 労働法(採用時の不当評価防止)
  • 業界ガイドライン(金融、医療などは特に厳格)

✅ 3. 実施手順とチェック体制の整備

  • 調査前の承認フロー(例:管理者の許可が必要)
  • 対象・ツール・結果の記録と保存
  • リスクがある場合の社内報告ルートの確立

✅ 4. 教育・トレーニング

  • 担当者だけでなく上司・人事・広報も含めてポリシーを周知
  • OSINTの“境界線”を現場で判断できるようにする

✅ 運用上の注意点

ポイント 内容
限定公開の情報にアクセスしない パスワード付き、非公開SNSなどは調査対象外にする
差別・偏見につながる分析を避ける 出身地、宗教、性別等を評価軸にしない
結果の再利用制限 調査目的外の利用(例:別部門での流用)は厳禁
継続的な見直し 年1回など、ポリシーの更新ルールを定める

🧪 ポリシー運用例:ある企業のケース

  1. セキュリティ部門が社員名+自社ドメインでGitHub検索
  2. パスワード付き設定ファイルが公開されていた事例を発見
  3. ポリシーに従い、開示範囲内で人事・法務と連携して本人に連絡 → 結果:本人が即時削除+社内共有資料で再発防止へ

✅ まとめ:OSINTは「武器」にも「信用」にもなる

  • OSINTの価値を最大化するには、使い方を明確に定めたポリシーが必要不可欠
  • ポリシーがあれば、「問題があったときに組織として説明できる」
  • 便利な技術だからこそ、“ルールある運用”で信頼される活用を

Best regards, (^^ゞ