Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第35回:RAGで社内の暗黙知を形式知化する方法

Hello there, ('ω')ノ

「属人化」の壁、どう乗り越える?

「この作業、田中さんしか分からないんだよね…」
「◯◯さんに相談すれば早いけど、休んでるから聞けない」
「過去にやったはずだけど、記録が残ってない」

こうした“属人化”=暗黙知の蓄積と偏りは、企業が抱える大きな課題の一つです。

その知識やノウハウ、RAG(検索拡張型生成)の仕組みを使えば、
「誰でもアクセスできる“形式知”」として再活用できるようになります!


💡 そもそも「暗黙知」と「形式知」の違いとは?

区分 内容
暗黙知 経験・勘・ノウハウ。頭の中にある情報 「この取引先には、こういう順番で話すといい」
形式知 文書化・共有された情報 マニュアル、手順書、FAQ、報告書など

RAGは、この“暗黙知→形式知”の橋渡し役として使えるのです!


🧩 暗黙知を形式知に変えるRAG活用ステップ


✅ Step 1:ノウハウが眠る場所を探す

意外と暗黙知は、断片的にすでに存在しています。

ソース例 暗黙知の気配がある箇所
SlackやTeamsのやりとり 「これってどうやるんだっけ?」という質問と回答
営業日報・作業メモ 現場での工夫、対応履歴、失敗回避のコツ
会議議事録 ベテラン社員の発言に価値ある“知恵”が潜む
OJT中のチャット 経験則・裏技・やってみて分かったこと

✅ Step 2:その情報を「チャンク化」して意味単位で整理

会話やメモはそのままでは使いづらいので、
- Q&A形式に整える
- トピックごとにグルーピング
- 「意図」「背景」「理由」も一緒にまとめる

など、“誰でもわかる形”に分解・再構築していきます。

📌 ChatGPTを使って「このやりとりをQ&A形式に整えて」と頼むのもOK!


✅ Step 3:RAGに組み込んで“意味検索+生成”を実現

チャンク化した情報をベクトル化し、RAG構成に取り込むことで…

「この作業、先輩はどうしてた?」
→ “似たような過去のやり方”がベースになったAI回答が返ってくる!

⚙ 出典を残しておけば、誰の経験だったかもトレース可能です。


✅ Step 4:「経験を引き出せるプロンプト設計」

以下のようなプロンプトを活用すれば、
AIが“過去の知恵を引き出すアドバイザー”として機能します。

以下の社内ナレッジを参考にしてください。  
・業務に関する質問に対して、過去の経験やコツが含まれる情報を抽出し、  
 わかりやすくまとめて回答してください。  
・参考となった文書名や日付も明記してください。

🎓 活用シーン別アイデア

シーン 暗黙知 → 形式知の変換例
営業のベテランノウハウ 過去の商談メモや「受注したときの話し方」をQ&A形式で再構築
製造現場の職人技 手順書にない“ちょっとしたコツ”をチャットログから拾い出す
IT部門のトラブル対応 再発防止策・一時対応ログなどを“状況別FAQ”にまとめる
人事・総務の相談履歴 よくある内線問合せとその対応をRAGに登録して社内FAQ化

🧠 属人化を防ぎ、ナレッジを“みんなの資産”に

課題 RAGでの解決策
あの人に聞かないとわからない AIがその人の過去の知見を再現できるようにする
情報が断片的 チャンク+ベクトル化で構造的に整理
質問しづらい文化 チャットAIなら誰でも気軽に聞ける
文書化が進まない 会話データなどを自動整形して形式知化

✅ 小さく始めるためのアイデア

ステップ やること
① Slackログを収集 特定ハッシュタグや部門チャネルから抽出
② 「ナレッジ候補」をAIに抽出させる ChatGPTで「役立つQ&Aに変換して」
③ RAG環境に登録 LangChainやFlowiseでノーコード導入も可能
④ 社内限定で試験運用 部門PoCで効果と使い方をフィードバック

まとめ:RAGで「知ってる人だけの知識」を“みんなの知識”に

  • 暗黙知は、文書ではなく“やりとりや経験”に宿る
  • チャットログや議事録を再構成し、RAGで形式知化することで再利用可能に
  • 「意味で探せる・答えてくれる」仕組みができれば、属人化を自然に解消
  • 小さな知恵の積み重ねが、全社の成長資産に変わる!

Best regards, (^^ゞ