Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第36回:社内データの取り扱いで注意すべきこと

Hello there, ('ω')ノ

「社内データをAIに渡して大丈夫?」という不安、ありませんか?

RAG(検索拡張型生成)を使って社内文書をAIに読ませることで、
業務効率が大きく向上する一方で、こんな声も聞かれます:

  • 「社内機密が漏れたらどうするの?」
  • 「個人情報が含まれていて不安…」
  • 「外部サービスを使っていいのか判断できない」

RAGの仕組みを理解しつつ、社内データの取り扱いにおける“注意点とベストプラクティス”を知っておくことがとても重要です。


💡 まず知っておきたい:RAGの“データの扱い方”とは?

RAGは基本的に「AIに学習させる」のではなく、「外部の文書を都度読み込んで参照する」仕組みです。

つまり…

  • LLM(GPTなど)は社内データそのものを記憶しない
  • ただし、社内文書をベクトル化・検索対象として保存する必要がある
  • 外部サービスに接続する場合はデータの保存先・通信内容に注意

「どこに、どの情報を置くか」「誰が、どう使うか」が肝心です!


🔐 社内データ取り扱いのポイント 5つ


✅ ① 機密レベルの分類をしておく

レベル 対応方針
公開情報 製品マニュアル、プレスリリースなど クラウドでの利用もOK
社内限定情報 業務手順書、社内FAQ 社内クラウド or VPN環境での活用
機密情報 経営資料、人事データ、個人情報 オンプレミス or 完全ローカル構成を推奨

📌 情報の分類を明確にしておけば、どこまでRAGに読み込ませてよいか判断しやすくなります!


✅ ② 個人情報は極力除外 or マスキングする

RAGに渡す文書に氏名・社員番号・住所・連絡先などが含まれる場合は、必ず以下の処理を検討しましょう:

  • 🔍 自動マスキングツールの活用(例:正規表現で置換)
  • 🧑‍💼 名前を「営業担当A」などに置き換える
  • 📋 文書そのものを匿名化してチャンク化

✅ ③ 使用ツールの“データ保持方針”を確認する

たとえばOpenAIのAPIには以下の特徴があります(※2024年3月現在):

  • 有料API(ChatGPT API)は会話内容を学習に使わない(※規約で明記)
  • ChatGPT(Web版)は、設定次第で会話を学習に使われる可能性がある
  • ログやデータが一時的にサーバ上に保管されることはある

➡ 導入前に「どのサービスが、どんなデータを、どこに保管するか」を必ず確認しましょう。


✅ ④ ベクトルデータベースの保存場所も注意

チャンク化された社内文書はベクトルデータとして保存されます。

保存場所 特徴と注意点
ローカル(FAISSなど) 社内PC内で完結。セキュリティ面で安心
社内サーバ(オンプレ構成) VPN環境内で動かせば、外部漏洩リスクを低減
クラウドDB(Pinecone, Weaviate等) 高機能だが、送信データの制御が必須

📌 社外クラウドを使う場合は、機密データを除外 or 暗号化する対策を取りましょう。


✅ ⑤ 社内での利用権限や操作ログを設ける

  • 🔑 ユーザーごとに利用範囲を制限(例:人事関連は人事部だけ)
  • 📝 誰がいつどんな質問をしたかのログ取得/保存
  • 📢 社員向けに「RAGの使い方とルール」を事前に周知

➡ ガバナンスとセキュリティを両立させるには、技術だけでなく運用ルールも整えることが大切です。


⚠ こんな点も要チェック!

リスク 対策例
古いデータで誤った回答をする 文書の更新日・信頼度をメタデータに記録し、優先度を調整
誤って社外データを混在させる データ登録時にソースをチェック/タグで管理
回答内容が曖昧/誤解を生む 「不明な場合は無理に答えない」プロンプト設計にしておく

🧭 導入前チェックリスト(抜粋)

  • [ ] 取り扱う文書の機密レベルを分類したか?
  • [ ] 個人情報やセンシティブな記述は除外・マスキングしたか?
  • [ ] 使用するAI・APIのデータ保持ポリシーを確認したか?
  • [ ] データ保存先(ベクトルDBなど)は社内管理か?
  • [ ] 社内ユーザー向けのルールやガイドラインは整備されているか?

まとめ:RAGの力を安心して使うために

  • RAGは「学習しないAI」だからこそ、活用しやすいが、データ設計と運用に注意が必要
  • ポイントは「何を・どこに・誰が・どう使うか」を整理すること
  • セキュリティやガバナンスを整えれば、安心して社内データを“使える資産”に変えられる!

Best regards, (^^ゞ