Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第67回:検索・取得に使われるベクトル検索の基礎

Hello there, ('ω')ノ

~「AIが意味で検索する」仕組みをやさしく理解する~

「文章を意味で検索できる」──そう聞いても、ピンとこないかもしれません。 でも、たとえば以下のようなケースで、ベクトル検索は威力を発揮します。


🧠 従来のキーワード検索との違い

結果(キーワード検索) 結果(ベクトル検索)
Q:「営業職の交通費精算ルールは?」 「交通費」「営業職」の両方が入ってる文書 「営業に関する精算方法」や「移動費の扱い」など“意味が近い”ものも拾う

つまり、キーワード検索が“言葉”で探すのに対して、ベクトル検索は“意味”で探すのです。


🔍 ベクトル検索とは?

✅ 一言で言うと:

「文章や情報を“意味の位置”として数値化(ベクトル化)し、近いもの同士を探す検索方法」


📐 もう少し噛み砕くと…

文章をAIに読ませると、それを数百次元の「意味の数値」に変換します。 これを「埋め込み(embedding)」と呼びます。

例えば:

  • 「会議を予定表に登録して」
  • 「ミーティングをカレンダーに入れて」

この2つの文章は言葉は違っても、意味はほぼ同じですよね? 埋め込みすると、この2つは“近い位置のベクトル”になります。

➡ ベクトル検索では、この“距離の近いもの”を探してくれるのです。


🧭 ベクトル検索の基本ステップ(初心者向け)

  1. ドキュメントを分割する(段落ごと、見出しごとなど)
  2. それぞれをベクトルに変換する(=埋め込み)
  3. ユーザーの質問もベクトルに変換する
  4. ベクトル同士の距離を測って近い順に並べる
  5. 最も意味が近い情報をLLMに渡す

🛠 よく使われる技術/サービス

名前 特徴
OpenAI Embeddings 高精度で使いやすいベクトル変換API
Cohere Embeddings 言語対応が多く、商用利用も進む
Pinecone 商用向けのベクトルデータベース。拡張性◎
Weaviate オープンソース型。ローカル設置も可能
Chroma 軽量で簡単。LangChainと相性が良い

💼 実務での活用例

活用シーン ベクトル検索の利点
社内マニュアル検索 あいまいな表現でも正しく該当箇所を引き出す
FAQ自動応答 ユーザーの言い回しが違っても類似内容を提示
法務/契約文書の確認 言い換えや類語でも正しく関連文を見つける
採用質問対応 「この制度どうなってるの?」に意味で答えられる

🧠 ベクトル検索のメリットと注意点

メリット 説明
柔軟な表現対応 同じ意味でも違う言い回しをカバーできる
高速検索 数万件の文書から瞬時に該当部分を抽出
多言語対応 埋め込み次第では、英語→日本語など横断も可能
注意点 解説
完璧ではない 本当に必要な情報とズレた近い情報を出すこともある
前処理が重要 文書の分割(チャンク化)や内容の整形が精度を左右
モデル依存 埋め込みモデルの選定で結果が大きく変わる

✅ まとめ:「意味を理解して探せる」検索技術を味方に

  • ベクトル検索は、LLMに“意味で情報を探させる”ための中核技術
  • RAG(検索拡張生成)や社内検索AIにはほぼ必須
  • 従来のキーワード検索と違い、自然な会話文でも正確な情報にたどり着ける
  • 良質な検索体験を作るには、「前処理」と「文書設計」がポイント

Best regards, (^^ゞ