Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第19回:埋め込み(Embedding)ってなに?

Hello there, ('ω')ノ

「意味で探す」って、どうやってるの?

RAGを使っていると、「AIが意味を理解して答えてくれる」ことに感動しますよね。

でも、よく考えてみると…

🔸 どうして“言い回し”が違っても、ちゃんと答えが出るの?
🔸 キーワードが一致していないのに、なぜ正しい文書が見つかるの?

──その秘密は、「埋め込み(Embedding)」という処理にあるんです!

今回は、初心者にもわかりやすく、埋め込みの仕組み・役割・実務でのポイントを丁寧に解説します。


💡 埋め込み(Embedding)とは?

一言で言うと:

文章や単語の“意味”を、AIが扱える数値(ベクトル)に変換すること

です。

この処理によって、「言葉」→「数値の地図」へと姿を変え、AIが意味の近さで検索できるようになります。


たとえば、こんな感じです:

単語 ベクトル(数値の並び)
りんご 🍎 [0.21, 0.67, -0.12, …]
みかん 🍊 [0.22, 0.66, -0.10, …]
飛行機 ✈️ [0.91, -0.43, 0.55, …]

📌「りんご」と「みかん」のベクトルは近く、「飛行機」は遠くにある。
➡ つまり、AIは数値の“距離”で意味の近さを判断しているんです。


どうして「Embedding」が必要なの?

🧠 人間:

「この言葉とあの言葉、なんとなく似てるな~」

🤖 AI:

「このベクトルとあのベクトル、距離が近いから意味も近いな」

RAGでは、ユーザーの質問と社内文書を両方ベクトルに変換し、
“数値的に一番近いもの”を見つけて回答に使います。

だからこそ、「意味を正しく数値に変える」Embeddingが超重要なんです。


埋め込みを使った検索の流れ(イメージ図)

[質問]:有給休暇の申請期限は?
 ↓(ベクトルに変換)
[質問ベクトル]
 ↓
[社内文書のベクトル群] と距離を比較
 ↓
→ 一番近いチャンクを取得!
 ↓
→ LLM(AI)がそれを元に回答生成

➡ この「距離で探す検索」を意味検索(セマンティック検索)と呼びます。


実際に使われているEmbeddingモデルは?

Embedding処理を行うには、専門のAIモデルを使います。

モデル名 特徴
OpenAI Embedding ChatGPTと同じOpenAI社のモデル。精度・速度・信頼性◎
Sentence-BERT オープンソースで利用可能。文単位の意味ベクトルに強い
Cohere 多言語対応。ビジネス向けにも使われている
Japanese-BERT 日本語特化型のEmbeddingモデル(日本語対応が必要な場合に)

📌 どのモデルを使うかで「検索精度」や「コスト感」が変わってきます。


Embeddingを使ったベクトル化は何に使われる?

活用場面 埋め込みの役割
文書検索(RAG) 質問と“意味が近い”文書を見つける
レコメンド機能 類似の製品や記事を提案する
クラスタリング分析 意味が近い文書をグループ分けする
意図分類・要約 テキストの意味を判断して処理内容を決定する

埋め込みの実務ポイント

✅ チャンク(分割)が前提!

文章をそのまま全部ベクトル化するのではなく、分割(チャンク)した単位ごとにEmbeddingします。

📌 詳しくは前回(第18回)で解説しました!


✅ メタデータと一緒に管理する

チャンクごとに「見出し」「出典」「文書名」なども一緒に保存すると、
後から回答に出典を添えることができるようになります。


✅ 定期的な再埋め込みも大切

新しい文書を追加したり、古い情報を更新した場合は、Embeddingし直す必要があります。

➡「RAGは使いながら育てる」が基本です。


まとめ:Embeddingは「意味検索AI」の心臓部!

  • 埋め込みとは、文章の意味を“数値化”すること
  • ベクトルに変換することで、言葉の違いを越えて検索が可能に
  • 質問・文書の両方をベクトルにして“意味の距離”でマッチング
  • Embeddingモデルの選定と、文書の分割設計がポイント
  • RAGではEmbeddingの質が、検索精度や回答品質に直結

Best regards, (^^ゞ