Hello there, ('ω')ノ
~木構造的に推論させる、次世代の思考誘導~
前回ご紹介した「Chain of Thought(思考連鎖)」は、AIが順番に一歩ずつ考えるスタイルでした。 これに対して、今回ご紹介するTree of Thoughts(以下、ToT)は、 AIが複数の選択肢を同時に考えて、比べながら推論していくという、さらに高度な思考誘導の方法です。
🌳 Tree of Thoughts(ToT)とは?
✅ 一言で言うと:
AIが“分岐”を持ちながら推論することで、より柔軟で創造的な判断を行える設計手法
人間でいえば、
- 「この道を行くとこうなる」
- 「別の方法も試してみよう」
- 「どれが一番いい結果になるか比較しよう」 といった、分岐と評価を繰り返す思考プロセスに似ています。
🧠 Chain of Thoughtとの違い
項目 | Chain of Thought(CoT) | Tree of Thoughts(ToT) |
---|---|---|
思考の流れ | 一直線(線形) | 複数の枝(木構造)で分岐しながら進む |
想定用途 | 数学・判断タスク | 探索・創造・戦略系タスク |
検討の幅 | 1つの仮説を深める | 複数の仮説を同時に比較・試行する |
🌟 ToTが効果的なケース
ケース | 理由 |
---|---|
新規企画のアイデア出し | 多様な案を展開→比較→洗練できる |
トラブル時の対応策検討 | 複数の原因仮説を立てて評価 |
論理的問題の解決 | ゴールに向かって様々なステップを検討 |
ゲーム戦略や業務フロー | 判断の分岐が多く、途中評価が重要なタスク |
🔍 簡単な例:ToTの考え方(業務シーンより)
問い:
「新入社員向けのオンボーディングプログラムを企画せよ」
Step1:複数の方向性(思考の枝)を出す
- 案A:オンライン完結型
- 案B:OJT重視+ペア制度
- 案C:研修集中型+eラーニング
Step2:それぞれのメリット・デメリットを出す
- A案:コスト安い/対面不足
- B案:実践的だが負担大
- C案:体系的だが柔軟性に欠ける
Step3:評価基準でスコア付け・比較
(例:満足度・定着率・コスト・属人性)
➡ 最終的に、最もバランスの良い案を選択、または組み合わせ提案が可能に。
🛠 ToT的プロンプト設計のポイント
✅ 基本構造
1. 問題を段階的に考えてください 2. 複数の案を出してください 3. 各案の良し悪しを比較してください 4. 最適な案を選んで理由を説明してください
✅ 英語プロンプト例(参考)
Let's brainstorm multiple solutions step by step. For each solution, evaluate pros and cons. Then choose the best option based on criteria like X, Y, Z.
🤖 実装の工夫:自動化やツール連携も可能
ToTのアプローチは、複数回のプロンプト+自動フィードバックループで実現することが多いため、以下の工夫が有効です:
工夫 | 内容 |
---|---|
思考ステップのスクリプト化 | 思考の枝を段階ごとに生成・評価 |
エージェント的設計(AutoGPT系) | 自律的に“仮説→評価→再試行”を繰り返す設計 |
外部評価モデルとの組み合わせ | LLM自身が案を評価し、選択する構成 |
✅ まとめ:AIに“選択肢を考えさせる”時代へ
- Tree of Thoughtsは、AIに複数の考えを並行的に出させ、選択肢を比較・評価させる技術
- CoTよりも柔軟性・探索力が高く、創造的・探索的な業務に向いている
- 実務では、「新企画立案」「選択肢比較」「対応案の洗練」などに活用しやすい
- 実装には少し工夫が必要ですが、思考力を高める次世代AI設計の中核として注目されています
Best regards, (^^ゞ