Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第54回:Tree of Thoughts

Hello there, ('ω')ノ

~木構造的に推論させる、次世代の思考誘導~

前回ご紹介した「Chain of Thought(思考連鎖)」は、AIが順番に一歩ずつ考えるスタイルでした。 これに対して、今回ご紹介するTree of Thoughts(以下、ToT)は、 AIが複数の選択肢を同時に考えて、比べながら推論していくという、さらに高度な思考誘導の方法です。


🌳 Tree of Thoughts(ToT)とは?

✅ 一言で言うと:

AIが“分岐”を持ちながら推論することで、より柔軟で創造的な判断を行える設計手法

人間でいえば、

  • 「この道を行くとこうなる」
  • 「別の方法も試してみよう」
  • 「どれが一番いい結果になるか比較しよう」 といった、分岐と評価を繰り返す思考プロセスに似ています。

🧠 Chain of Thoughtとの違い

項目 Chain of Thought(CoT) Tree of Thoughts(ToT)
思考の流れ 一直線(線形) 複数の枝(木構造)で分岐しながら進む
想定用途 数学・判断タスク 探索・創造・戦略系タスク
検討の幅 1つの仮説を深める 複数の仮説を同時に比較・試行する

🌟 ToTが効果的なケース

ケース 理由
新規企画のアイデア出し 多様な案を展開→比較→洗練できる
トラブル時の対応策検討 複数の原因仮説を立てて評価
論理的問題の解決 ゴールに向かって様々なステップを検討
ゲーム戦略や業務フロー 判断の分岐が多く、途中評価が重要なタスク

🔍 簡単な例:ToTの考え方(業務シーンより)

問い:

「新入社員向けのオンボーディングプログラムを企画せよ」

Step1:複数の方向性(思考の枝)を出す

  • 案A:オンライン完結型
  • 案B:OJT重視+ペア制度
  • 案C:研修集中型+eラーニング

Step2:それぞれのメリット・デメリットを出す

  • A案:コスト安い/対面不足
  • B案:実践的だが負担大
  • C案:体系的だが柔軟性に欠ける

Step3:評価基準でスコア付け・比較

(例:満足度・定着率・コスト・属人性)

➡ 最終的に、最もバランスの良い案を選択、または組み合わせ提案が可能に。


🛠 ToT的プロンプト設計のポイント

✅ 基本構造

1. 問題を段階的に考えてください  
2. 複数の案を出してください  
3. 各案の良し悪しを比較してください  
4. 最適な案を選んで理由を説明してください

✅ 英語プロンプト例(参考)

Let's brainstorm multiple solutions step by step.  
For each solution, evaluate pros and cons.  
Then choose the best option based on criteria like X, Y, Z.

🤖 実装の工夫:自動化やツール連携も可能

ToTのアプローチは、複数回のプロンプト+自動フィードバックループで実現することが多いため、以下の工夫が有効です:

工夫 内容
思考ステップのスクリプト化 思考の枝を段階ごとに生成・評価
エージェント的設計(AutoGPT系) 自律的に“仮説→評価→再試行”を繰り返す設計
外部評価モデルとの組み合わせ LLM自身が案を評価し、選択する構成

✅ まとめ:AIに“選択肢を考えさせる”時代へ

  • Tree of Thoughtsは、AIに複数の考えを並行的に出させ、選択肢を比較・評価させる技術
  • CoTよりも柔軟性・探索力が高く、創造的・探索的な業務に向いている
  • 実務では、「新企画立案」「選択肢比較」「対応案の洗練」などに活用しやすい
  • 実装には少し工夫が必要ですが、思考力を高める次世代AI設計の中核として注目されています

Best regards, (^^ゞ