Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第53回:チェイン・オブ・ソートとは?

Hello there, ('ω')ノ

~「考えるAI」に変えるプロンプト設計の技術~

AIに質問をしたとき、「なんだか急いで答えている」「答えは合ってるけど、根拠がわからない」 そんな印象を受けたことはないでしょうか?

そんなときに役立つのが、AIに“考えさせるプロンプト”を設計する Chain of Thought(CoT:思考の連鎖)という手法です。


🧠 Chain of Thought(思考連鎖)とは?

✅ 一言で言うと:

AIに「答えを出す前に、手順を一つずつ考えさせる」プロンプト設計

人間も、計算問題や論理パズルを解くとき、 頭の中で「まずこれを確認して、次にこれを計算して…」という順序で考えますよね? AIにもこの“段階的な思考プロセス”を促すのがChain of Thoughtです。


🔍 例で見る:普通のプロンプト vs Chain of Thought

普通のプロンプト

Q: ある会議は15時から始まり、90分続きました。終了時刻は?

A: 16時30分

➡ 正解ですが、**途中の計算は省略されていて「どう導いたか」が見えません。


Chain of Thought を使うプロンプト

Q: ある会議は15時から始まり、90分続きました。終了時刻は?

A: 会議は15時に開始します。90分は1時間30分なので、  
15時に1時間30分を足すと、16時30分になります。したがって、終了時刻は16時30分です。

➡ 手順を踏んで説明することで、信頼性や理解度が上がるのがポイントです。


💼 なぜ業務で効果的なのか?

効果 内容
✅ 出力の透明性向上 根拠やステップが見えることで安心感が増す
✅ 複雑な質問への対応力UP 分解して考えることで誤答が減る
✅ 再確認やレビューがしやすい ロジックが明確なので、人による検証が可能
✅ トレース可能性の向上 「なぜこの答え?」を後から説明できる

🛠 実務での活用シーン

業務場面 CoTの活用例
社内ルールの判断 手順や条件を段階的に説明させる(例:残業申請の可否)
トラブル対応マニュアル 原因特定 → 状況確認 → 対応策 を順に出力
数字を含む問い合わせ 「計算根拠付き」で答えることで誤解を防ぐ
法務・契約チェック 条件をひとつずつ精査する形式で確認を促す

✍️ プロンプト設計のコツ

工夫 内容
「ステップバイステップで考えてください」 代表的なフレーズ(※英語では "Let's think step by step.")
「まず〜、次に〜」と誘導する 手順を自然に分解できるように促す
Few-shotと組み合わせて例を見せる 具体的なCoT例をいくつか提示すると精度が安定

💡 注意点と限界

課題 補足
出力が長くなりやすい 要約モードやハイライト付き出力と組み合わせると◎
単純な質問では逆効果も CoTは複雑なタスクや判断に向いている
ステップがずれると逆に混乱 ロジック確認はレビューやテストで補完

✅ まとめ:「答え」より「考え方」を出力させるAIへ

  • Chain of Thought(CoT)は、AIに“考えるように誘導”するプロンプト設計
  • 複雑な判断・計算・説明に向いており、透明性と信頼性がアップ
  • 業務では、マニュアル生成・判断補助・手順説明などで効果的
  • 導入はシンプル:「ステップを踏んで説明してください」と伝えるだけでもOK!

Best regards, (^^ゞ