Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第48回:マルチモーダルRAGで画像やPDFも扱おう

Hello there, ('ω')ノ

「図解やPDFも読んでくれたらいいのに…」

RAG(検索拡張型生成)は、社内文書を活用してAIが自然な回答を返す強力な仕組みですが、
実は多くの企業がこうした課題にぶつかります:

  • PDFファイルしか資料がない…
  • スクリーンショット付きのマニュアルが多い…
  • 表や図、画像で説明されている情報を検索できない…

そんなときに必要なのが、マルチモーダルRAG(Multi-modal RAG)です!


💡 マルチモーダルRAGとは?

テキストだけでなく、画像・表・PDF・手書きメモなど、複数の情報形式(モダリティ)を扱えるRAGのことです。

モダリティ
テキスト Word、Notion、チャットログなど
画像 スクリーンショット、図、写真、手書きメモ
PDF スキャン資料、報告書、紙資料の電子化版
表・グラフ Excel、CSV、帳票などの構造化データ

🧠 なぜ今「マルチモーダルRAG」が重要なの?


✅ ① 社内資料の大半は“PDF”や“画像つき”!

  • 手順書や設計図はPDFや画像でしか存在しない
  • マニュアルに貼られた図が肝心のことを伝えている
  • 表形式でないと意味が伝わらない業務も多い(例:料金表、仕様一覧)

➡ これらをテキスト変換せずにRAGで活かせると、活用可能な情報量が一気に拡大します!


✅ ② テキストだけのRAGには限界がある

例:「この手順書の画面は、どこをクリックするんですか?」
➡ 画像内にしか答えがない場合、従来のRAGでは答えられない…

📌 マルチモーダル化することで、画像×テキスト×表の「意味」を一体化して扱えるようになります。


🔧 マルチモーダルRAGの仕組み(ざっくり)


✅ Step 1:PDFや画像を“テキスト化”する

  • OCR(文字認識)でスキャンPDFや画像から文字を抽出
  • 表や図も構造化して、チャンクとして分割
  • Altテキストや画像キャプションを活用する

🛠 使用ツール例: - PyMuPDF(PDF → テキスト) - Tesseract OCR(画像 → テキスト) - PaddleOCR(高精度OCR)


✅ Step 2:テキストとマルチモーダル情報をセットでベクトル化

  • GPT-4V(Vision対応)など、画像+文章を同時に扱えるモデルで意味ベクトルを生成
  • テキストと画像の関係性を保持したチャンクにする

✅ Step 3:検索と生成で“マルチモーダルな回答”を実現

例:「この図にある注意点は何ですか?」
→ 図に付随する説明文やキャプションを抽出し、LLMが自然な文で回答!


🖼 活用シーンの例

シーン マルチモーダルRAGの効果
IT手順書 スクショ付きの操作マニュアルも検索&説明可能に
設計図面 画像内の番号やラベルをベースに説明可能
会議資料 グラフ+説明文を統合して要点を自動要約
契約書PDF 条文に含まれる画像・表も一括で取り込んで根拠表示

✅ 注意点とコツ

課題 対策
画像内文字の精度が低い 高精度OCR(PaddleOCRなど)+事前クリーニング
文と画像の結びつきが弱い チャンク分割時に「図番号」「キャプション」「前後の文脈」をセットにする
ファイルサイズが重い 分割読み込み+重要部分のみ抽出
LLMの対応限界 GPT-4Vなど、マルチモーダルに対応したLLMを選定する

🔍 どんなツールで実現できるの?

用途 ツール例
OCR・画像読み取り Tesseract、PaddleOCR、Azure Vision OCR
PDF処理 PyMuPDF、pdfplumber
LLM(画像対応) GPT-4V、Gemini Pro Vision、Claude 3
RAG構築基盤 LangChain(Vision対応)、LlamaIndex、Haystack

🎯 まとめ:マルチモーダル対応でRAGの“守備範囲”が一気に広がる!

  • PDF・画像・図・表を扱えることで、RAGの活用対象がテキストの何倍にも
  • 手順書・設計図・会議資料など、“非テキスト中心”の業務でもAIが活躍
  • 社内にあるあらゆるドキュメントを“検索可能な知識”に変える一歩に!

Best regards, (^^ゞ