Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第88回:自社診断体制の立ち上げ方法

Hello there, ('ω')ノ

✅ 自社診断体制づくりの5ステップ

ステップ 内容
1. 目的の明確化 なぜ診断を内製化したいのか?何を守りたいのか?
2. スキル習得とツール選定 最小限の人員で始めるために、段階的に学ぶ&選ぶ
3. 診断ルールと運用体制の整備 「いつ・何を・誰が」診断するか決めておく
4. ドキュメントとナレッジの蓄積 毎回ゼロからやらないための仕組みづくり
5. 社内文化として定着させる 定期診断、勉強会、レビュー制度で循環型に

✅ ステップ1:目的とスコープを明確にする

診断体制を持つことが目的にならないように注意。 「何のために診断するのか?」を明確にしましょう。

例:

  • 本番前リリース時に必ず脆弱性チェックを入れる
  • 毎月のアップデート時に最低限の自己診断を行う
  • 開発チーム内でセキュリティ知識を共有する仕組みをつくる

✅ ステップ2:最小構成で始めるスキルとツール

🔧 最初に使うべき無料ツール(オープンソース)

ツール名 用途 特徴
MobSF 静的解析 APKをアップするだけで多くの診断が自動化
APKTool デコンパイル アプリ構造やManifestの解析に便利
Frida 動的解析 実行中のアプリを観察・改変可能
Burp Suite 通信診断 HTTPSやAPI診断に必須

📘 推奨スキル

スキル 内容
ADB操作 実機とPCをつないで操作できる
Android構造理解 マニフェスト、パーミッション、Intentなど
HTTPの基本 通信内容の読み書きやREST APIの構造
セキュリティ基礎 OWASP Mobile Top10の理解からでOK

✅ ステップ3:診断のルールと運用を決める

  • 診断対象をいつ選定するか?(新規開発/アップデート時)
  • 診断は誰が行うか?(専任、兼任、ローテーション)
  • 結果の記録方法は?(レポートテンプレート/チェックリスト)
  • 対応の優先順位は?(トリアージの基準を事前に決める)

✅ ステップ4:ナレッジ蓄積と再利用の工夫

  • 診断報告書をテンプレート化して社内Wikiに残す
  • よくある脆弱性を“社内脆弱性辞典”として整理
  • ツールの使い方を画面キャプチャ付きマニュアルにして、誰でも診断できるように

✅ ステップ5:文化として定着させる仕掛け

工夫 内容
月次のセキュリティチェック日 定例で「診断の日」を設ける
ペア診断 開発者と診断担当が一緒に診断し、学び合う
Slackなどでナレッジ共有 #セキュリティTips チャンネルを作る
成果の可視化 「脆弱性ゼロでリリースできた月!」などを表彰

✅ 体制構築の注意点と現実的な目標設定

  • 最初から100点を目指さない
  • 「最低限これだけは診断する」というスモールスタートが成功の鍵
  • 少人数でも、継続する体制を作れば十分効果あり
  • 時には外部支援も併用しつつ、内製スキルを高めていく

✅ まとめ

  • 自社診断体制は「セキュリティを文化として根付かせる第一歩」
  • 最小限のツールとスキルでスモールスタートできる
  • ルール・ナレッジ・仕組みを整えることで“誰でもできる状態”を目指す
  • 内製体制は、スピード・透明性・ノウハウ蓄積の大きな武器になる

Best regards, (^^ゞ