Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第60回:エージェントのように動くLLMの仕組み

Hello there, ('ω')ノ

~「話すAI」から「動くAI」への進化~

ChatGPTなどのAIは、これまでは「質問→回答」のやりとりに特化していました。 しかし今、多くの企業や開発者が目指しているのは、「会話するだけでなく、動けるAI」=AIエージェントの活用です。

ここでの“動く”とは、

  • 情報を探す
  • 外部ツールを使う
  • 複数ステップの処理をこなす といった実作業の一部をAIが代行することを意味します。

🤖 エージェント的LLMとは?

✅ 一言で言うと:

考える(推論)+ 行動する(ツール実行)+ 結果を見て判断し直す というループを自律的に繰り返せるLLMのこと。

つまり、以下のような力を持つAIです:

機能 説明
思考 タスクを理解し、最適な手順を考える(Reason)
行動 必要な操作を実行する(Act)
観察 実行結果を受け取り、内容を分析する(Observe)
再思考 結果に応じて次の行動を選ぶ(Re-plan)

これが、ReAct構造を発展させた「LLMエージェント」の基本構造です。


🧭 実例:営業支援AIエージェントの流れ

目的:新規リードにメールを送り、反応に応じて営業日程を調整する

  1. リード情報をCRMから取得(ツール呼び出し)
  2. 相手に合わせた提案文を作成(LLM生成)
  3. メールAPIで送信(外部実行)
  4. 数日後に返答が来たら内容を要約(再入力)
  5. 日程調整ツールと連携して、候補日を提示(自動処理)

➡ AIが複数のツールやデータを連携しながら“働く”ことが可能になります。


🔧 実装に必要な構成要素

要素 内容
タスク実行ループ Reason → Act → Observe のループ設計(ReAct構造)
ツール群 API・データベース・ファイルアクセスなど外部実行手段
実行制御モジュール 実行状況の管理(例:LangChain、Autogenなど)
状態保持とログ セッションや中間結果を管理し、過去の文脈を反映
安全設計 実行前の承認フローや制限設定(例:意図しないメール送信防止)

💼 エージェント的LLMの活用シーン

業務カテゴリ 活用例
人事 面接日程調整、求人文作成、応募対応
総務 会議室予約、社内問い合わせ対応、備品管理
情報システム システム利用申請処理、アカウント作成支援
営業 リード整理、資料生成、顧客フォロー自動化
経理 請求データの処理、ミスチェック、仕訳提案

🧠 人とAIの“役割分担”がポイント

AIが完璧に全ての作業を代行するわけではありません。 大切なのは、次のような“人との協調”を意識した設計です。

項目
AIが得意な部分 定型処理、情報整理、文書生成、API実行
人が確認する部分 最終判断、重要通知の確認、感情の判断
協調の仕組み 「人間の承認を挟む」「Slack通知だけ送る」など

🚀 実装ツール例(参考)

ツール 用途
LangChain マルチツール連携・エージェント構成支援
OpenAI Functions 外部ツール呼び出しの関数設計
AutoGPT / AgentOps 自律的なタスク遂行+ログ管理
Zapier / Make ノーコードのワークフロー自動化
Slack / Notion / Google Workspace 実際の業務ツールと連携可能

✅ まとめ:「話すAI」から「働くAI」へ

  • エージェント的なLLMは「考える+動く」を繰り返すAI
  • 外部ツールとの連携により、実務を巻き取るAIアシスタントに進化
  • ポイントは「段階的な実行」「ツールとの橋渡し」「安全な制御」
  • 人との協業が前提となる実装設計が重要

Best regards, (^^ゞ