Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第58回:マルチステップ推論とツール連携の設計法

Hello there, ('ω')ノ

~AIが“ひとつずつ考え、外部と連携する”ための設計の知恵~

ChatGPTなどのAIは、単純な質問にはすぐ答えられますが、以下のような複雑な業務指示には工夫が必要です:

  • 「このファイルを確認して、必要な申請手続きを調べて、部門ごとの違いをまとめて」
  • 「最近のお問い合わせの傾向を分析して、3つの改善案を提案して」

こうした段階的に考えないと解けないタスクには、マルチステップ推論(Multi-step Reasoning)と呼ばれる設計が有効です。 さらに、社内ツールやデータベースとつながることで、AIは“考えて行動するアシスタント”として機能するようになります。


🧠 マルチステップ推論とは?

✅ 一言で言うと:

複数の思考ステップを順にたどりながら、段階的に問題を解決するAIの推論方法

人間の思考と同じように、AIにも「まず考えるべきこと」「次に判断すべきこと」を順番に整理して考えさせることができます。


🧭 例:出張報告対応タスク

指示内容:「出張報告の記入ミスを見つけて、正しいフォーマットに整えてください。」

🔁 ステップ設計

  1. フォーマットの規則を思い出す
  2. 入力された情報を抽出する
  3. 規則と照らし合わせて誤りを検出
  4. 修正案を出力する

➡ このように、ステップごとに思考を分けることで、AIの処理精度が向上します。


🛠 ツール連携とは?

AIにとって“行動”とは、人間でいう「Web検索」「表の確認」「メール送信」などの外部タスク実行を意味します。 これを実現するのが、ツール連携(Tool Integration)です。

たとえば:

  • 社内の勤怠システムとつなげる
  • GoogleカレンダーやNotionに書き込む
  • データベースやExcelファイルから情報を引き出す

➡ AIは「考える」だけでなく、「何かを調べたり、書き込んだり」“手を動かせる存在”に進化します。


🔗 マルチステップ推論+ツール連携の実装イメージ

指示例:「来月の営業会議予定をカレンダーに追加してください」

ステップ 処理内容
Step 1 営業会議のスケジュールルールを思い出す(例:第2水曜)
Step 2 来月のカレンダーを確認(ツール連携)
Step 3 日程を計算・決定(推論)
Step 4 Googleカレンダーにイベント登録(外部API実行)
Step 5 実行結果を確認し、完了を報告(フィードバック)

➡ この一連の流れをAIが自動で進行できれば、「秘書AI」のような使い方が可能になります。


🧱 実現に必要な設計要素

要素 内容
タスク分解能力 問題を小さなステップに分ける思考プロンプト(例:「順を追って考えてください」)
ツールの抽象化 「カレンダーに予定を入れる」などをAPIや関数として準備
統合エージェント 思考(Reason)と行動(Act)をつなぐループ設計(ReActベース)
失敗時の分岐設計 「うまくいかなかったら再試行する」「別の手段を試す」などの保険

💼 業務への応用例

業務カテゴリ 具体的な活用方法
情報収集・分析 Webデータ+社内データを横断して要約レポートを作成
ワークフロー支援 タスクを実行・確認し、Slackやメールで報告
申請・確認業務 書類をチェック→必要項目抽出→自動修正・提出
顧客対応支援 顧客情報を参照→返答内容を構築→メール送信まで完結

✅ まとめ:AIが“自律的にタスクをこなす”未来へ

  • マルチステップ推論で、複雑な問題を分解して処理できるAIに
  • ツール連携により、AIが現実世界で“手を動かせる”存在に進化
  • 業務フローの一部を自動化・効率化できる設計手法として注目
  • 自社のツール群とAIの“橋渡し”を意識した構成が鍵になる

Best regards, (^^ゞ