Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第48回:アテンションの可視化や寄与分析

Hello there, ('ω')ノ

~AIが“どこを見て考えたか”を人の目で見る~

LLM(大規模言語モデル)やAIチャットボットの出力に対して、次のような声を聞くことがあります。

  • 「なぜその結論になったの?」
  • 「この文のどこを読んで答えたのか知りたい」
  • 「不自然な答えが出たとき、どこが原因か分析したい」

こうしたニーズに応えるために使われるのが、モデルの内部動作を“見える化”する技術です。 その中でも特に重要なのが:

  • 🎯 アテンションの可視化
  • 🧮 寄与分析(コントリビューション分析)

👁 アテンションとは?

✅ そもそも「アテンション」とは?

モデルが、入力のどの部分に“注目”しているかを表す仕組みです。

LLMの中身は、「単語同士の関係性」を大量の計算で処理しています。 そのとき、「この単語は、あの単語をどれくらい参照しているか?」をスコアで管理しています。これが「アテンションスコア」です。


🧭 アテンションの可視化とは?

✅ 一言でいうと:

モデルが出力時にどの単語をどれだけ重視したかを、ヒートマップのように可視化する技術です。

🔍 たとえばこんな可視化図:

Q: 山田さんは退職しましたか?

[山田] ←→ [退職] に強いアテンション  
[さん] ←→ [しましたか] に中程度  
[は] ←→ ほぼ無視

➡ モデルが「退職」「山田」の関連を強く意識していたことがわかります。


🧪 実務での使い方

シーン 活用例
誤答の原因分析 「間違った単語に注目していないか?」を検証
モデルの透明性説明 「この単語が理由です」と説明可能に
入力の改善 アテンションがズレていたら、プロンプト修正のヒントに

📊 寄与分析(コントリビューション分析)とは?

✅ こちらは「何がどれだけ結果に影響したか」を数値で示す方法。

アテンションが“注目していた”のに対し、 寄与分析は“実際の出力に貢献した”かどうかを評価します。

例:

Q: 「この人は管理職ですか?」

単語 寄与スコア
部長 +0.75(強く貢献)
人事異動 +0.20
入社 -0.05(ほぼ無関係)

➡ 回答に影響を与えた要素が明確になります。


🔧 実現方法とツール(参考)

ツール名 概要 対象者
BERTViz アテンションの可視化(Web UI) 開発者・リサーチャー
Captum(PyTorch) 寄与分析ツール AI開発者向け
OpenAI GPT Logs + Attention Viewer 特定の応答のアテンション可視化 組織内検証向け

※ツールはやや専門的なため、導入は技術部門との連携がベストです。


💡 解釈との違いと組み合わせ方

項目 解釈 アテンション/寄与分析
対象 出力全体の“意味” 個々の単語の“影響度”
方法 プロンプト工夫・思考出力 内部の数値を可視化
相性 人間向けの説明 エラー原因分析や学習評価に最適

➡ 「思考を出力させる」+「注目ポイントを見る」のセットで、より深い理解が可能になります。


✅ まとめ:「注目」と「影響」で、AIの内面を見える化する

  • アテンション可視化は、モデルが“どこを見ていたか”をチェックできる技術
  • 寄与分析は、実際に“どの語が結論に効いていたか”を測る手法
  • 両者を活用することで、誤答の原因究明・改善・透明性向上が図れる
  • 実務では、専門ツール+人のレビューの組み合わせが効果的

Best regards, (^^ゞ