Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第38回:チューニングを自動化する仕組みを作る

Hello there, ('ω')ノ

~「AIを育てる仕事」を、仕組み化する時代へ~

AIモデル、とくにLLMは「一度作って終わり」ではありません。 現実の業務では、

  • 応答が不自然だった → 改善したい
  • 新しい用語が増えた → 覚えさせたい
  • トーンが業務に合わない →調整したい

といった継続的なチューニングニーズが日常的に発生します。 そこで重要になるのが、自動化によるチューニングの「仕組み化」です。


🔧 そもそも「チューニング」とは何を指す?

種類 内容
プロンプト調整 指示文を工夫して応答を最適化する
モデル微調整(LoRA等) 出力スタイルや知識に影響を与える差分学習
ハイパーパラメータ調整 学習率やステップ数など訓練条件の最適化
データ調整 学習データの質・量・順番の最適化

これらのうち、何を自動化するか?によってアプローチが変わります。


🧠 よくある自動化のニーズ

自動化したいこと 目的
最適なプロンプトを探したい 応答の質を高めたい/一貫性を出したい
LoRAの調整パターンを試したい 最小限の学習で最大限の効果を得たい
精度を落とさず高速化したい モデル圧縮とのバランスを見極めたい

🔁 チューニング自動化の代表的な仕組み3つ

グリッドサーチ(全探索)

  • あらかじめ用意したパラメータの組み合わせをすべて試す方法
  • シンプルだが時間がかかる

🔧 使える場面:LoRAの学習率、レイヤー数、出力スタイルの調整など


ベイズ最適化

  • 「今までの結果から、次に試すべきパターンを絞って試す」
  • 少ない試行回数で“おいしいところ”を探れる賢い方法

🔧 使える場面: → 学習コストが高い場合に最小限の試行で成果を出したいとき


自動プロンプト調整(Auto Prompting)

  • 評価指標(正答率、文体一致率など)をもとに、AI自身がプロンプトを試行錯誤して最適化
  • LLMによるLLM調整のような方法

🔧 使える場面: → ルール化しにくい応答改善(トーン、表現、文章構成など)


🧰 実務での導入イメージ:小さく始めて、繰り返す

ステップ1:目的を明確にする

  • 「どの応答を改善したいのか?」
  • 「速くしたい?正確にしたい?表現を統一したい?」

ステップ2:評価指標を決める

  • 例:「正答率90%以上」「句読点の使い方が丁寧」「誤字なし」

ステップ3:テストパターンを用意してスクリプト化

  • パラメータ変更→モデル実行→出力評価→ログ保存…をバッチ処理で回す

ステップ4:効果的なパターンを採用し、次回に活かす

  • うまくいった条件を「チューニング済み設定」として保存・再利用

🛡 自動化における注意点

注意点 解説
全自動ではなく「半自動」から 判断が必要な部分(トーン・読解性など)は人のレビューを挟む
過剰最適化に注意 テストデータにだけ強くなってしまう「過学習的」な調整は避ける
定期的な見直しが必要 業務ルールやデータの変化に対応するため、調整もアップデートが必要

✅ まとめ:AIに合わせるより、「業務に合わせたAI」を仕組みで作ろう

  • チューニングは一度きりではなく継続的なプロセス
  • 自動化には目的・評価基準・繰り返し可能な構成がカギ
  • 小さく始めて、成功した調整方法をテンプレート化することで、社内で再利用できるAI運用基盤が作れる

Best regards, (^^ゞ