Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第37回:実際の業務に最適な調整とは?

Hello there, ('ω')ノ

~“カスタムAI”を作るための現実的アプローチ~

「ChatGPTはすごいけど、うちの業務には少し合わない」 「もう少し専門用語を理解してくれれば…」 「話し方をもっと丁寧にしてくれないかな」

こうした声は、LLMを業務で使い始めた企業の現場でよく聞かれます。


🎯 まず最初に考えるべきこと

LLMの業務活用には、最初に以下の2点を明確にしておくことが大切です:

  1. どこまでの精度が必要か?(完璧でなくてよい場合も多い)
  2. どこで人の手と切り替えるか?(判断が必要な部分は人が担う)

これを踏まえたうえで、調整方法を選んでいきましょう。


🛠 実務に合わせた主な調整パターン5つ

調整パターン 向いている業務 特徴
① プロンプト設計 汎用チャット/社内Q&A 低コスト・即実装可。応答スタイルや文体調整に有効
② RAG(検索拡張生成) 業務マニュアル・製品知識応答 モデルに知識を“持たせず”、動的に引き出す構成
③ LoRA(軽量ファインチューニング) 固定文体/業務専門語の応答 少量の業務データでモデルの出力傾向を微調整
④ ルールベースとの併用 契約文作成/顧客対応の例外処理 LLMだけに頼らず、特定パターンは明示的制御
⑤ 出力形式の整形 フォーマット指定/構造化出力 JSONや箇条書き形式などへの変換を明示する工夫

🧭 ケース別:最適な調整方針の選び方

📁 ケース1:社内Q&Aを効率化したい

おすすめ:RAG+プロンプト調整

  • モデルは軽量なままでOK
  • 社内ドキュメントを検索して補足
  • 応答トーンはプロンプトでカスタマイズ可能

✅ ポイント:ドキュメントが更新されても再学習不要!


🧾 ケース2:契約書や業務文書を自動化したい

おすすめ:LoRAまたは出力フォーマット指定

  • 決まった言い回し・段落構成などが求められる
  • 少量の例文データでLoRA適用(トーンや形式だけ調整)
  • 「この形式で出力して」と明示するプロンプトで制御

✅ ポイント:高精度を目指すならLoRA、柔軟運用ならプロンプト重視


👥 ケース3:顧客対応チャットに活用したい

おすすめ:ルールベース+LLMハイブリッド構成

  • 「この言葉が出たらAと答える」のようなルールはスクリプト化
  • あとはLLMに柔軟に任せる
  • 誤答リスクのある部分は人の確認を挟む

✅ ポイント:「人+AI」の役割分担がカギ!


💬 実務で役立つ“簡易チューニング”のコツ

手法 工夫のしかた
プロンプト 「社内用語は〇〇を使ってください」「敬語で」「5行以内に」など細かく指示
出力形式 「JSON形式で」「表形式で」「見出し+本文に分けて」など明確に指定
ユーザーガイド文 入力の前に「業務内容は〇〇、対象読者は△△です」と前提をつける

✅ まとめ:業務に合った“現実的な調整”が成功の鍵

  • LLMを業務で活かすには「高度な学習」よりも「目的に合わせた調整」が重要
  • 低コストな方法から段階的に導入するのが現実的
  • 精度・スピード・運用性を見ながら、調整方法を“選び、組み合わせる”戦略設計
  • 完璧を目指すのではなく、人の判断とAIの支援をうまく分ける設計が成功の近道

Best regards, (^^ゞ