Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第23回:ロス関数と最適化:なぜ学習できるのか?

Hello there, ('ω')ノ

~AIが“間違いから学ぶ”メカニズムをのぞいてみよう~

LLMのようなAIモデルは、大量のテキストを「学習」することで賢くなります。 でも、そもそも学習ってどうやってやってるの? 人間のように「教えてもらって覚える」のではなく、AIは「間違いを測って少しずつ直していく」ことで知識を身につけているのです。

この仕組みの中心にあるのが:

  • ロス関数(損失関数)
  • 最適化(オプティマイゼーション)

という2つの概念です。


🎯 ロス関数とは何か?

一言でいえば:

「AIの予測と正解のズレを数値化するためのモノサシ」

AIは、予測を出したあと、「どれだけ外していたか?」を測定します。 このズレの大きさを“ロス(損失)”と呼びます。


📌 具体例でイメージしよう

例:「明日は◯◯になるでしょう」→ AIは「晴れ」を予測 でも、正解は「雨」だったとします。

このとき:

  • AIが出した「晴れ」
  • 正解の「雨」

この違いを数式にして評価するのがロス関数です。

ロス関数が大きければ「外している」し、 小さければ「正解に近い」ということ。


🛠 よく使われるロス関数(ざっくり)

ロス関数名 主な用途 イメージ
クロスエントロピー 分類(例:正しい単語を当てる) 「どれだけ当てられたか?」を評価
MSE(平均二乗誤差) 数値の予測 「どれだけズレたか?」を数値で出す
マージンロス 似たものの区別(検索など) 「正しいものと間違ったものの差」を評価

LLMの場合、「次に来る単語をどれだけ正しく予測したか?」をクロスエントロピーで計算することが多いです。


🔄 最適化とは何か?

ロス関数が「どれだけズレたかを測る」ものだとしたら、 最適化はそのズレを「どうやって小さくしていくか?」の工夫です。

つまり、

間違いを元に、モデルの中身(重み)を少しずつ調整していく手続き

と考えてください。


📌 イメージで説明:坂を下るような調整作業

ロス関数を“山”にたとえると…

  • 高いところ:ズレが大きい → モデルが間違っている
  • 低いところ:ズレが小さい → モデルが正確に近い

最適化とは、この山の谷(ロス最小)を目指して少しずつ下っていくようなものです。


✅ 実際に使われる最適化手法(例)

名前 特徴
SGD(確率的勾配降下法) 基本的な調整手法
Adam より安定して効率的に学習できる手法(LLMでも多用)
Adagrad / RMSProp 特定の特徴に着目した調整に強い

LLMのように巨大なパラメータを持つモデルでは、これらの工夫が不可欠です。


🤖 LLMは「何を正解」として学んでいるの?

LLMの学習では、主に以下のような学習課題が設定されています:

🧩 例:次の単語を当てる「言語モデリング」

入力:私は昨日〇〇を食べました。  
→ モデルは「ラーメン」「寿司」など、ありそうな単語を予測  
→ 正解が「カレー」だったら、そこから“ズレ”をロス関数で計算
→ 少しずつ修正

これを何億回も繰り返すことで、「人間らしい予測」ができるようになっていきます。


✅ まとめ:「ズレを測り、少しずつ直す」がAIの学び方

  • ロス関数は「どれだけ間違えたか?」を数値で評価する仕組み
  • 最適化は「どう直すか?」を判断して調整していくプロセス
  • LLMは「次に来る単語」を正しく当てるために、この仕組みで“学習”している
  • この「ズレを直すサイクル」を数億回繰り返すことで、文章生成の精度が磨かれていく

Best regards, (^^ゞ