Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第19回:データのバージョン管理とは?

Hello there, ('ω')ノ

~データも“育てていく”ために必要な設計と習慣~

LLMや生成AIの導入が進む中で、こんな声をよく聞きます:

  • 「データを更新したら、モデルの結果が変わった」
  • 「どの時点のデータで学習したのか覚えていない」
  • 「変更履歴がわからず、元に戻せない…」

これらのトラブルを防ぐカギが、「データのバージョン管理」です。


📦 データのバージョン管理とは?

一言でいえば、

「いつ、どんな内容で、誰が使ったかを記録しながらデータを更新・運用していく方法」

のことです。

プログラムや文書の「履歴管理」と似ていて、 たとえば「この学習は◯月×日版のデータで行った」と後から確認できるようにします。


🧭 なぜバージョン管理が必要なのか?

課題 バージョン管理で解決できること
モデルの出力が突然変わる どのデータで学習したかを特定できるようにする
品質が劣化した気がする 以前のデータと比較して分析・巻き戻しができる
他の部署が勝手に更新した 誰が・いつ・何を変更したかが記録される
複数人で同時編集すると衝突する 編集の履歴・差分を整理し、統合の判断が可能になる

🛠 バージョン管理で扱うべき主な情報

管理項目 内容
日付・時間 更新日時、作成日時など
編集者 誰が編集/変更したか(担当部署など)
データの状態 何件あって、どのような形式か(CSV, JSON, etc.)
変更内容 何が追加/削除/修正されたか(差分)
コメント・意図 なぜこの変更を行ったのか(目的)

🧩 実務に合った管理方法3パターン

✅ パターン①:フォルダ分け(小規模・手軽)

  • 例:/data/2024-06-01_version1//data/2024-06-15_version2/
  • フォルダ名やファイル名にバージョン日付や番号をつけて管理

メリット: 非エンジニアにも扱いやすい デメリット: 差分比較や変更理由の記録がやや手間


✅ パターン②:スプレッドシート+変更ログ(中規模)

  • Googleスプレッドシートで内容を保存
  • 別タブで「変更ログ」や「レビュー記録」を残す

メリット: 履歴が見える化しやすい デメリット: 大量データには不向き。共同編集時は注意


✅ パターン③:GitやDVC(エンジニア向け)

  • Git(バージョン管理ツール)を使って、CSVやコードと一緒に管理
  • DVC(Data Version Control)を使えば、大量データの差分管理も可能

メリット: 精密な管理が可能、再現性が高い デメリット: 技術的な設定が必要。慣れが必要


📌 LLM活用における具体的な適用例

活用シーン 管理内容
社内FAQの更新 月次で追加・変更されたQ&Aの記録/差分を管理
チャットログのクレンジング後 前処理前後の状態を記録し、変換ルールを管理
プロンプトテンプレートのバージョン 出力が変わるため、各バージョンを残して比較
学習データの再利用 どのモデルがどのデータで学習されたかを紐づけて管理

✅ バージョン管理のチェックリスト

チェック項目
日付と編集者の記録はあるか? ☑︎
何を変えたか、理由が残っているか? ☑︎
元に戻せるような形で保存されているか? ☑︎
共有チーム内でルールが統一されているか? ☑︎
モデルや成果物との紐付けができているか? ☑︎

✅ まとめ:データも“育てる”には、履歴が命

  • データは一度作って終わりではなく、アップデートされ続ける資産
  • だからこそ、「誰が・いつ・なぜ・どう変えたか」を残す仕組みが必要
  • 小さく始めてもOK。スプレッドシートでも「履歴と差分」を意識するだけで◎
  • 将来的にチームでのLLM運用が増えるほど、この管理は“効く基盤”になる

Best regards, (^^ゞ