Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第18回:分散処理とシャーディングの考え方

Hello there, ('ω')ノ

~“1台では無理”な処理を、どうやって分けてこなすのか?~

データが増えれば、処理も重くなる。 1つのコンピュータやツールでは「時間がかかりすぎる」「途中で止まる」「応答が返ってこない」など、スケールの壁にぶつかることがあります。

そんなときに使われるのが、

「分散処理」と「シャーディング」という考え方です。

これは大規模なデータ活用、特にLLMへの大量データの読み込み・検索・生成などにおいて重要な技術的土台となります。


🧩 分散処理とは?

📌 一言で言えば:

「大きな処理を小さく分けて、複数の機械(またはタスク)で同時に処理する」こと。

まるで大きなピザをみんなで分けて食べるように、1つの仕事を分割して並行でこなすイメージです。


✅ 分散処理が役立つシーン

シーン 説明
数十万件の文書に対するLLM要約 並列処理しないと数日かかることも
大量の検索・質問に対する即時応答 同時アクセスに耐えるためには並列化が必要
埋め込み生成やベクトル化 GPUリソースの分散活用で高速化可能

💡 実際の例:1万件の社内文書を要約したい

  • 1件あたり5秒かかる場合 → 1台のPCだと 13時間以上
  • 10台のPC(もしくは10プロセス)に分散処理すれば → 1時間強

➡ LLMの活用が“待てるかどうか”に大きく関わってくるのです。


🧱 シャーディング(Sharding)とは?

📌 一言で言えば:

「データを分けて保存・管理する仕組み」のこと。

「シャード(Shard)」とは「かけら」「断片」という意味。 つまり、データを小さなかけらに分け、それぞれを別々に保存・処理する構造です。


✅ シャーディングの目的

目的 効果
処理負荷の分散 特定のサーバーに集中しない
スケーラビリティ データが増えても追加しやすい
障害時の影響を局所化 1台壊れても全体が止まらないようにする

💡 LLM活用とシャーディングの関係

たとえば、FAQを1万件持つ社内検索システムを作る場合:

  • 全FAQを1つのサーバーに保存して検索する → 負荷集中・応答遅延
  • カテゴリ(製品別、部署別など)でシャーディングして検索  → 高速・効率的・拡張性も高い

🛠 実務での応用:どう考えるか?

目的 適した技術・考え方
まとめて処理したい(埋め込み・要約など) 分散処理:バッチ+並列実行
同時アクセスが増えてきた(検索・生成) 分散処理:サーバー増設・APIのスケーリング
検索対象が増えて遅くなった シャーディング:カテゴリ別/日付別に分割
処理が止まったとき復旧しやすくしたい シャーディング:データごとに保存先を分散しておく

💡 分散とシャーディングの違い・使い分け

観点 分散処理 シャーディング
主な目的 同時に速く終わらせる データの保存・管理の分散
処理対象 処理(CPU/GPU) データ(保存場所)
例えるなら 料理を複数人で分担して作る 冷蔵庫を複数台に分けて使う
LLMの使い方で言えば 同じ処理を複数プロセスに並列投入 ベクトルDBなどをカテゴリ別に分割

✅ まとめ:スケールするには“分けてこなす”がカギ

  • 大量データや高負荷な処理には「並列に」「分散して」取り組む必要がある
  • 分散処理は“処理の同時並行”、シャーディングは“データの分割管理”
  • どちらも、LLM活用を現実的なスピードと規模で実現するための基礎設計

Best regards, (^^ゞ