Hello there, ('ω')ノ
~一気にやらず、ちゃんと分ける。LLMが読みやすくなる工夫~
社内に蓄積されたメール、議事録、FAQ、チャットログ、マニュアル……。 LLMを導入したいと思ったとき、多くの企業が抱える最初の壁が、
「データはあるけど、量が多すぎて扱えない」 という問題です。
そんな大量データをどうやって扱いやすくし、効率的に処理・活用するか?
📦 なぜ「分割戦略」が重要なのか?
❗ LLMには「一度に読める量」に限界がある
たとえばChatGPTでも、一度に扱えるテキスト量にはトークン数(文字数のようなもの)の制限があります。 この制限を超えると、
- 学習時は正しく覚えられない
- 実行時は途中で切れてしまう
- 応答内容が安定しない
という問題が発生します。
➡ だからこそ、大量データを“頭から全部入れる”のではなく、“小さく分けて賢く使う”戦略が必要なのです。
🧠 分割戦略の基本3原則
原則①:意味単位で分ける(文・段落・話題)
ただ文字数で区切るのではなく、文の区切りやトピックごとに分割することで、文脈を壊さず処理できます。
- ✅ NG例:「この商品はおすすめです。明日」「お届」→ 文が途中で切れる
- ✅ OK例:「この商品はおすすめです。」+「明日お届け予定です。」
原則②:用途に応じて分ける(目的別にスライス)
データの使い方ごとに分けることで、無駄な処理や誤学習を防げます。
用途 | 分け方の例 |
---|---|
チャット応答用 | Q&Aごとに分割/話者ごとに分離 |
検索用 | 段落ごとに分けてインデックス化 |
学習用 | セクション単位でトピックごとに分割 |
要約用 | ページ単位で処理し、再構築 |
原則③:分割後の“つなぎ方”も考える(再構築可能性)
ただ分けるだけでなく、「あとで再利用しやすい形で分ける」ことも重要です。
- セクション番号や見出しを保持
- 元のファイル名や行番号をメタデータに残す
- 元文と対応が取れるようなIDを付ける
➡ これにより、モデルの出力を元の文書に戻すことも可能になります。
🛠 実務で使える分割テクニック
✅ テクニック1:文・段落ベースの分割(自然言語処理)
- Pythonのライブラリ(spaCy、NLTK、MeCabなど)で文単位の分解が可能
- HTMLやPDF文書でも、段落やタイトルタグを利用すれば分割しやすい
✅ テクニック2:ルールベースのカット
- 「●」や「■」などの記号、見出し、日付などを分割ポイントに使う
- 例:「2024年3月1日 会議議事録」→ 1日ごとに分割
✅ テクニック3:ウィンドウスライディング(重複あり)
- 例えば500トークンずつ+100トークン分重ねて分割することで、文脈を保ちつつ分割できる
- よくある用途:埋め込み検索、RAG(検索拡張生成)
✅ テクニック4:メタデータ付き分割
分割する際に、以下の情報も一緒に保存しておくと便利です:
メタ情報 | 内容の例 |
---|---|
文書ID | 元のファイル名や文書名 |
セクション番号 | 「第3章」「2-1」など |
行番号/開始位置 | 元のテキスト内での位置 |
タグ | 「製品案内」「苦情」「依頼」など分類タグ |
➡ LLMへの入力だけでなく、検索・管理・エラー修正にも役立ちます。
🧩 データ処理の“分割+統合”の流れ(全体像)
- 対象文書の収集(PDF/Word/CSV など)
- 分割ルールの決定(トピック単位・トークン数・日付単位 など)
- 前処理+分割(自然言語処理ツールで整形)
- メタ情報の付加(後で統合できるように)
- 用途に応じた整理(検索用・学習用などに分類)
✅ まとめ:LLMにとっての“ちょうどいいサイズ”をつくる
- LLMにはトークン制限があるため、大量データは分割して使うのが基本
- 文・段落・セクション・用途ごとなど意味を保った分け方が大切
- 再利用しやすいようにメタ情報をつけておくと便利
- 分割はただの前処理ではなく、「情報活用力を高める戦略の一部」
Best regards, (^^ゞ