Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第11回:データクリーニングの自動化パターン

Hello there, ('ω')ノ

~人手では間に合わない文書整理を“パターン化”して楽にする~

LLMの開発や運用において、避けて通れないのが「データクリーニング(清掃)」の作業です。 ですが、手作業でやろうとすると──

  • 文書が多すぎて終わらない
  • 担当者によって基準がバラバラ
  • ミスや抜けが出る

という問題が頻発します。


🧹 データクリーニングとは?

ざっくり言えば、

「LLMに変な学習をさせないよう、不要・不正確な部分を取り除く作業」

です。 これはあくまで“きれいに整える”ことが目的で、意味のある情報を削るわけではありません。


🔁 なぜ自動化が必要なのか?

以下のような理由から、手作業でのデータクリーニングには限界があります:

  • 文書が1万件を超えると目視チェックは困難
  • 担当者ごとに判断がぶれると、モデルに一貫性が出ない
  • 頻繁な更新や再学習のたびに繰り返す必要がある

➡ だからこそ、一貫したルールに基づいた“自動クリーニング”の仕組み化が求められるのです。


🧠 自動クリーニングに使える4つのパターン

ルールベース・フィルタパターン

どう動く? 決められた文字列やパターン(例:「↑」「※」「😊」など)に一致する部分を自動で除去

技術例:

  • 正規表現(Regex)
  • 単純なif文やキーワードリスト

用途:

  • 記号や不要語句の除去
  • メールの定型文(例:「よろしくお願いいたします」)の整理

辞書ベース変換パターン

どう動く? よくある表記ゆれ(例:「メール」⇔「Eメール」⇔「mail」)を、辞書に基づいて統一

技術例:

  • 変換マッピング辞書
  • 置換テーブル

用途:

  • 誤字・揺れの修正
  • 部署名や製品名の呼び方の統一

自然言語処理(NLP)パターン

どう動く? 文の構造や意味を理解して、「変な日本語」や「途中で切れた文」を検出・除去

技術例:

  • 形態素解析(MeCab、janomeなど)
  • 文の完結性判定(文末が「です」「ます」で終わっているかなど)

用途:

  • 文法が崩れている箇所の検出
  • 未完文や箇条書きの誤り修正

ベクトル比較・類似度パターン(重複検出)

どう動く? 意味的に似ている文を数値(ベクトル)で比較し、重複や類似文を検出・削除

技術例:

  • OpenAI Embedding
  • cosine類似度、クラスタリング

用途:

  • FAQなどの重複削除
  • 内容が似ているが言い回しが違う文の整理

🛠 自動クリーニング処理の“流れ”をパターン化する

🌟 例:基本的な自動クリーニングの処理フロー

1. 文書の読み込み
↓
2. 正規表現で記号・ゴミ文字を除去(ルールベース)
↓
3. 辞書で表記を統一(辞書ベース)
↓
4. NLPで構文をチェック(自然言語処理)
↓
5. 類似文を削除(ベクトル比較)
↓
6. クリーンな状態で保存/学習へ

➡ この流れをスクリプトやツールで「1クリックで実行」できるようにしておくと、再学習や運用時も非常に楽になります。


💡 実務的な工夫ポイント

  • 前処理ルールを社内で標準化する(例:「ですます」に統一 など)
  • 処理結果をロギングして、異常がないか確認できるようにする
  • 「やりすぎて意味のある情報を削らないよう」注意
  • 人間の最終チェックを残すステップも考慮する

✅ まとめ:データクリーニングは“仕組み化”して育てる

  • 手作業では限界があるため、自動化パターンを活用するのが効果的
  • ルールベース/辞書ベース/NLP/ベクトル比較など、複数のアプローチを組み合わせる
  • 定期的な実行と人によるチェックをセットにすることで、信頼できる学習データが維持できる

Best regards, (^^ゞ