Hello there, ('ω')ノ
~LLMが同じことばかり学習しないための整理術~
LLMにデータを与えるとき、つい見落としがちなのが「重複データ」の存在です。 例えば、似たようなFAQが複数の部署で管理されていたり、メール文例が社内共有のたびにコピーされていたり……。
実はこれらの重複データを放置すると、LLMの出力に悪影響が出る可能性があります。
🔄 なぜ重複データが問題なのか?
📌 問題1:学習データの「偏り」が発生
同じフレーズばかりが大量にあると、LLMはそれを“重要な表現”だと誤解し、一部の表現を過剰に学習してしまう可能性があります。
📌 問題2:モデルの「出力の多様性」が損なわれる
重複したデータが多いと、LLMは似たような回答ばかりを出すようになります。 → 結果として「何を聞いても同じような返答しか返ってこない」状態に。
📌 問題3:無駄な学習コストがかかる
同じ情報を何度も学習させるのは、時間も計算資源も無駄に消費してしまいます。
🛠️ 重複の種類と検出方法
重複には実は2種類あります:
種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
完全一致 | 全く同じ文章 | 「この商品は返品できません。」が複数回 |
類似(部分一致) | 似ているが言い回しが違う | 「この商品は返品不可です。」など微妙に違う文 |
⚙️ 重複検出の基本的な方法
✅ 方法1:完全一致の削除(簡単・高速)
使えるツール:
- Excelやスプレッドシートの「重複の削除」機能
- Pythonの
set()
やpandas.drop_duplicates()
メソッド
おすすめ用途:
- データ件数が少なめ(数千件程度)
- ほぼコピー&ペーストの重複が疑われるとき
✅ 方法2:類似文の検出(精度重視)
使える技術:
- Cosine類似度(文章を数値化し、類似度を数値で計算)
- ベクトル検索(例えばOpenAIの埋め込み+FAISS)
例:
from sklearn.feature_extraction.text import TfidfVectorizer from sklearn.metrics.pairwise import cosine_similarity texts = ["これは返品できません。", "この商品は返品不可です。"] vec = TfidfVectorizer().fit_transform(texts) similarity = cosine_similarity(vec[0], vec[1]) print(similarity)
➡ 類似度が0.8以上など、一定の基準を超えたら「ほぼ重複」とみなして除外します。
✅ 方法3:AIによる文の意味レベルの比較
活用例:
- OpenAIの「text-embedding-3-small」などを使って文章をベクトル化
- 意味が近いもの同士をまとめてクラスタリング(グルーピング)
➡ より高精度に「ニュアンスが同じかどうか」を判断できます。
💡 実務での応用例
🔹 FAQシステムの学習データ整理
- 「返品できますか?」に対する似た回答が5パターンある
- → 意味が同じものは1つにまとめ、バリエーションは後から追加学習で対応
🔹 社内チャットのログ整理
- 「了解しました」「了解しました!」などの微妙な違いも検出
- → 定型表現としてまとめてフィルタリング
📋 重複削除のチェックポイント
チェック項目 | 説明 |
---|---|
完全一致は削除できているか? | コピー&ペーストされたものがないか確認 |
類似文の基準は適切か? | 類似度のしきい値(例:0.85)を設定して調整 |
業務に必要な“バリエーション”まで削っていないか? | 「完全一致だけ削る」など慎重な運用が必要 |
自動化ツールに頼りきりでなく人の確認もあるか? | “削りすぎ”のリスクを回避するために確認体制を |
✅ まとめ:重複除去は“品質と効率”を上げる下ごしらえ
- LLMは「同じ表現ばかり学ぶ」と、応答の幅が狭くなる
- 完全一致だけでなく、“意味が同じ”重複も削除対象に
- ベクトル化や類似度計算で自動化が可能
- 削除しすぎないように「人の目による確認」も忘れずに
Best regrads, (^^ゞ