Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第9回:多言語・混合言語データへの対応

Hello there, ('ω')ノ

~“日本語だけじゃない”現場のLLM活用術~

最近のLLMは日本語にも強くなってきましたが、企業の現場では次のようなシーンも多く見られます:

  • 海外支社とのメールが英語
  • 社内チャットで「英語+日本語」のミックス表現
  • マニュアルの一部が中国語や韓国語で書かれている

こうした多言語・混合言語(コードミックス)のデータに、どう対応すればよいのでしょうか?


🌏 なぜ“多言語対応”が求められるのか?

1. ビジネスがグローバル化しているから

  • 海外との取引や子会社、外国人社員の増加により、社内文書が多言語になるのは自然な流れです。

2. 社内チャットや会話での“言語の混在”

  • 「Thanks! 対応助かりました!」のように、一文に複数言語が含まれる(コードミックス)ことも多々あります。

3. 英語データがLLMに与える“学習効果”

  • 実際、多くのLLMは英語データで主に学習されているため、英語情報の活用は性能向上にも有効な場合があります。

🤖 LLMは多言語を扱えるのか?

最近のLLM(たとえばGPTやClaudeなど)は、ある程度の多言語対応が可能です。 ただし、モデルによって得意な言語・苦手な言語がある点には注意が必要です。

言語 多くのLLMでの対応状況
英語 ◎ 非常に得意
日本語 ◯ かなり対応できる
中国語・韓国語 ◯ モデルによる
東南アジア言語 △ 未対応・精度低め
コードミックス △ 意味理解に限界あり

さらに、日本語と英語が混ざると文法解析が難しくなり、誤訳や誤解の原因にもなります。


🧹 多言語データの前処理と活用のポイント

① 言語検出(Language Detection)

まずは、文書ごとにどの言語が使われているかを判定します。

✅ 使用ツール例:

  • langdetect(Python)
  • FastText(Facebookが開発、精度高い)

📝 「1文の中に複数言語が混ざっている」場合には、コードレベルでの分割やタグ付けが必要になります。


② 不要な言語のフィルタリング(必要に応じて)

業務に関係ない多言語データ(例:広告文、英語のスパムメールなど)は、あらかじめ除外しておくと精度が向上します。


③ 機械翻訳による統一(翻訳前処理)

たとえば日本語中心のモデルを使う場合は、英語や中国語を翻訳して日本語に統一することで、処理がしやすくなります。

✅ 翻訳ツール例:

  • DeepL
  • Google Cloud Translation API
  • Azure Translator

⚠️ 翻訳の正確性はチェックが必要ですが、大量の社内文書を統一化するには現実的な手段です。


④ コードミックス(混合言語)への対応

「お疲れさま!今日のmeetingはどうでしたか?」のようなデータには、次の対応が考えられます:

対応策 説明
分割して処理 日本語部分と英語部分を別々に学習・処理
タグ付けする 例:「[JP]お疲れさま![EN]Today’s meeting was...」
意図的にミックスさせて学習させる チャット用などでは「混ざり方」も学習対象にする

🏢 実務における多言語対応のチェックリスト

項目 確認すること
言語の種類は何か? 日本語中心?英語?他国語?
言語ごとにデータを分けられるか? 分離が難しいならタグ付けを検討
翻訳によって統一したほうが良いか? モデルの得意言語に合わせて選択
コードミックスが多いか? 処理手順を分けて考える必要あり
重要な言語がモデルに対応しているか? 多言語対応モデルの選定も検討

✅ まとめ:多言語対応は“戦略的”に行うべし

  • 現場では英語・日本語の混在は日常的
  • LLMの特性を理解し、得意な言語に合わせた処理を設計することが大切
  • 必要に応じて、翻訳・タグ付け・分割処理など柔軟な対応が必要
  • 「翻訳して統一する」「ミックスも学習に使う」など、活用目的に応じて最適解を選ぶ

Best regards, (^^ゞ