Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第7回:よくあるデータの問題点とは?

Hello there, ('ω')ノ

~LLMに学習させる前に知っておくべき“落とし穴”~

企業がLLMを導入する際、多くの担当者が陥りがちな誤解があります。それは──

「社内にあるデータをそのまま使えば、すぐにLLMが動くんでしょ?」

という考えです。

しかし、実際にLLMに学習させるとなると、多くの“問題のあるデータ”が紛れ込んでいることに気づきます。


🔍 企業にありがちなデータの“7つの問題”

① スペルミス・誤字脱字

  • 例:「お世話になっております」が「お世話になっておりまs」になっている
  • 影響: LLMが「変な言葉」を学習してしまい、誤字を正しいものとして認識する可能性があります。

② 文法や表現の崩れ

  • 例:「いますぐ対応ください」などの不自然な命令口調や口語表現
  • 影響: モデルが「乱れた表現」を学習してしまい、出力の文章が読みづらくなることがあります。

③ フォーマットや表記揺れの統一されていない

  • 例:

    • 「日付:2023/4/1」と「2023年4月1日」
    • 「顧客」/「クライアント」/「お客様」などが混在
  • 影響: 同じ意味でも異なる単語として学習され、一貫性のない出力や曖昧な表現につながります。

④ 重複・類似データが多い

  • 例: 同じマニュアルが複数の部署で微妙に文言を変えて存在している
  • 影響: 特定の言い回しだけを学習しすぎ、バリエーションがない偏った出力になります。

⑤ 意味のない情報やゴミデータの混在

  • 例:

    • 「↑このへんあとで修正予定」などのメモ
    • テンプレートのプレースホルダー({お名前}、{会社名}など)
  • 影響: モデルが意味のない文字列を“重要な情報”として覚えてしまう可能性があります。

⑥ 個人情報や機密情報の含有

  • 例: 社員名簿、顧客の電話番号、取引先の契約条件など
  • 影響: モデルがそれを記憶して出力してしまうと、大きな情報漏洩リスクになります。

⑦ 文の途中で途切れている・文章構造が壊れている

  • 例:

    • 「この資料を参考にして、」←続きがない
    • 箇条書きが途中で終わっている
  • 影響: モデルが中途半端な文を学習し、文章生成時に論理構造が崩れる原因になります。

🧭 実務で見かける「データ品質チェックリスト」

以下のような簡易チェックリストを作って、社内データの状態を確認することができます:

チェック項目 OK? 備考
誤字・脱字はないか? ✅/❌ 自動チェックツールが便利
文法・口調は統一されているか? ✅/❌ 文体変換やフィルタリングを検討
表記ゆれがないか? ✅/❌ 同義語辞書で変換可能
同一または類似の文章が大量にないか? ✅/❌ 重複削除アルゴリズムを活用
ゴミ情報・メモ書きが含まれていないか? ✅/❌ 正規表現などで除去可能
機密情報・個人情報が含まれていないか? ✅/❌ 自動マスキングツールを使用
未完の文がないか? ✅/❌ 文構造解析やルールベースチェック

🧠 なぜ「質の悪いデータ」は気づきにくいのか?

実は、人間にとっては「ちょっと変だけど意味はわかる」というケースも多く、読み流してしまいがちです。

しかし、LLMは文字単位・トークン単位で精密に学習するため、ほんの少しの誤りやノイズでもパフォーマンスに影響が出ます。

そのため、人間が読むとスルーしてしまうような細かい崩れこそ、AIにとっては致命的なノイズになりうるのです。


✅ まとめ:きれいなデータが良いモデルを育てる

  • 多くの企業データは「そのままでは使えない」ことが多い
  • 誤字・表記ゆれ・重複・機密情報など、注意点は多岐にわたる
  • 人間が気づきにくいノイズも、LLMには大きな影響を与える
  • データチェックリストや自動ツールの活用がカギ

Best regards, (^^ゞ