Hello there, ('ω')ノ
前回紹介したCWDモデルでは、AIエージェントが「分担して協力する仕組み」が重要だという話をしました。 今回はその中でも、「誰が何をやるのか」という役割設計の3タイプに注目します。
- 🎯 コーディネーター(Coordinator)
- 🛠️ ワーカー(Worker)
- 🤝 デリゲーター(Delegator)
それぞれが、チーム型AIの中でどう機能し、何を担っているのかを見ていきましょう。
🎯 コーディネーター(Coordinator)
全体の流れを把握・管理する司令塔のような役割
「誰がいつ、何をすべきか?」を決める役割です。 プロジェクトマネージャー的な立場で、エージェント間の調整やタスクの割り振り、進捗確認を行います。
✅ 主な機能:
機能 | 説明 |
---|---|
タスクの分解 | ゴールを小さな作業に分ける(例:ホテル予約 → 予算確認→ 候補抽出) |
担当割り振り | タスクごとにワーカーに割り当てる |
状況モニタリング | 進捗状況やエラーを確認して再指示する |
📘 例:旅行予約チームのコーディネーター 「まずは予算を確認して。その後、空きホテルの検索をお願いします」
🛠️ ワーカー(Worker)
具体的な作業を実行する担当者的な役割
ツールを使ったり、データを処理したり、文章を生成したりと、“手を動かす”実務部隊です。
✅ 主な機能:
機能 | 説明 |
---|---|
APIの実行 | 実際の外部ツールやデータベースにアクセスして操作する |
処理の実行 | 文章生成、表計算、データ整理など |
結果の報告 | 作業結果を上位に返す(JSON形式や自然言語など) |
📘 例:ホテル検索ワーカー 「楽天トラベルのAPIから1万円以下のホテルを検索→結果を返す」
🤝 デリゲーター(Delegator)
「この作業は他のAIに任せよう」と判断・依頼する役割
自分で処理せず、**適切なワーカーや別エージェントに仕事を振る(=デリゲートする)**タイプです。 ミニコーディネーターのような役割でもあり、より柔軟で自律的な連携が可能になります。
✅ 主な機能:
機能 | 説明 |
---|---|
タスク判断 | 自分で実行せず、タスクの性質を判断する |
エージェント選定 | 誰に任せるべきかを判断する(スキルや負荷を考慮) |
実行依頼 | ワーカーや他のデリゲーターに仕事を振る |
📘 例:コンテンツ生成デリゲーター 「この分析はデータ専門AIに、文章化はライティングAIに依頼しよう」
🧠 なぜ役割分担が重要なのか?
- ✅ スケーラビリティ:チームが増えても制御が破綻しにくい
- ✅ 責任分離:誰が何をやるべきかが明確になり、ミスを防ぎやすい
- ✅ 自律性:上位AIが状況判断し、下位AIに仕事を任せられる
つまり、「全体を見て考えるAI」「実行に集中するAI」「連携を担うAI」という構造をつくることで、 複雑なタスクも自律的・効率的に処理できるようになります。
📊 まとめ表:3つの役割の違い
項目 | コーディネーター | ワーカー | デリゲーター |
---|---|---|---|
役割 | 全体設計・管理 | 実務実行 | タスク委任・連携 |
主な操作 | タスク設計/進捗管理 | API実行/文章生成 | 依頼判断/中継連携 |
ユーザーとの距離 | 近い(指示受け手) | 遠い(実行者) | 中間的な立ち位置 |
代表的な実装 | CrewAIのPM役 | LangChainのTool Agent | AutoGenの代理AIなど |
✍️ まとめ
- エージェント型AIでは、役割分担によって複雑なタスクが“分散処理”される
- コーディネーター:全体管理
- ワーカー:実行部隊
- デリゲーター:中間管理・依頼調整
- 適切な役割設計によって、AIチームは「自律的で再利用可能な仕組み」になる
Best regards, (^^ゞ