Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第26回:コーディネーター/ワーカー/デリゲーターの役割

Hello there, ('ω')ノ

前回紹介したCWDモデルでは、AIエージェントが「分担して協力する仕組み」が重要だという話をしました。 今回はその中でも、「誰が何をやるのか」という役割設計の3タイプに注目します。

  • 🎯 コーディネーター(Coordinator)
  • 🛠️ ワーカー(Worker)
  • 🤝 デリゲーター(Delegator)

それぞれが、チーム型AIの中でどう機能し、何を担っているのかを見ていきましょう。


🎯 コーディネーター(Coordinator)

全体の流れを把握・管理する司令塔のような役割

「誰がいつ、何をすべきか?」を決める役割です。 プロジェクトマネージャー的な立場で、エージェント間の調整やタスクの割り振り、進捗確認を行います。

✅ 主な機能:

機能 説明
タスクの分解 ゴールを小さな作業に分ける(例:ホテル予約 → 予算確認→ 候補抽出)
担当割り振り タスクごとにワーカーに割り当てる
状況モニタリング 進捗状況やエラーを確認して再指示する

📘 例:旅行予約チームのコーディネーター 「まずは予算を確認して。その後、空きホテルの検索をお願いします」


🛠️ ワーカー(Worker)

具体的な作業を実行する担当者的な役割

ツールを使ったり、データを処理したり、文章を生成したりと、“手を動かす”実務部隊です。

✅ 主な機能:

機能 説明
APIの実行 実際の外部ツールやデータベースにアクセスして操作する
処理の実行 文章生成、表計算、データ整理など
結果の報告 作業結果を上位に返す(JSON形式や自然言語など)

📘 例:ホテル検索ワーカー 「楽天トラベルのAPIから1万円以下のホテルを検索→結果を返す」


🤝 デリゲーター(Delegator)

「この作業は他のAIに任せよう」と判断・依頼する役割

自分で処理せず、**適切なワーカーや別エージェントに仕事を振る(=デリゲートする)**タイプです。 ミニコーディネーターのような役割でもあり、より柔軟で自律的な連携が可能になります。

✅ 主な機能:

機能 説明
タスク判断 自分で実行せず、タスクの性質を判断する
エージェント選定 誰に任せるべきかを判断する(スキルや負荷を考慮)
実行依頼 ワーカーや他のデリゲーターに仕事を振る

📘 例:コンテンツ生成デリゲーター 「この分析はデータ専門AIに、文章化はライティングAIに依頼しよう」


🧠 なぜ役割分担が重要なのか?

  • スケーラビリティ:チームが増えても制御が破綻しにくい
  • 責任分離:誰が何をやるべきかが明確になり、ミスを防ぎやすい
  • 自律性:上位AIが状況判断し、下位AIに仕事を任せられる

つまり、「全体を見て考えるAI」「実行に集中するAI」「連携を担うAI」という構造をつくることで、 複雑なタスクも自律的・効率的に処理できるようになります。


📊 まとめ表:3つの役割の違い

項目 コーディネーター ワーカー デリゲーター
役割 全体設計・管理 実務実行 タスク委任・連携
主な操作 タスク設計/進捗管理 API実行/文章生成 依頼判断/中継連携
ユーザーとの距離 近い(指示受け手) 遠い(実行者) 中間的な立ち位置
代表的な実装 CrewAIのPM役 LangChainのTool Agent AutoGenの代理AIなど

✍️ まとめ

  • エージェント型AIでは、役割分担によって複雑なタスクが“分散処理”される
  • コーディネーター:全体管理
  • ワーカー:実行部隊
  • デリゲーター:中間管理・依頼調整
  • 適切な役割設計によって、AIチームは「自律的で再利用可能な仕組み」になる

Best regards, (^^ゞ