Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第25回:AIがタスクを「分担する」仕組み(CWDモデル)

Hello there, ('ω')ノ

人間の職場でも、効率よく仕事を回すためには「誰が何をやるか」の分担が重要です。 同じように、AIエージェントたちもチームで動くときには「タスク分担の仕組み」が必要になります。

そこで登場するのが、CWDモデル(Collaborative Working Distribution)です。

これは、AI同士が「この作業は自分がやる」「次はあなたがやって」といった分担を、自律的に決め合って進めるためのモデルです。


🤝 CWDモデルとは?

Collaborative Working Distribution(協調的作業分担)モデル 複数のAIエージェントが、1つの目標に向かって「役割分担しながら協調的に作業を進める」枠組み

CWDでは、AIが単独でタスクを完了するのではなく、 他のAIと“チームを組んで”段階的に作業を進めます。


📦 どんな構造になっているの?

CWDモデルの全体像を、ざっくりと以下の3つのフェーズで捉えることができます。

① 分解(Decomposition)

まず、1つの大きな目標(例:出張準備)を、複数のサブタスクに分ける

例:

  • フライト予約
  • ホテル手配
  • 日程調整
  • 報告レポート作成

② 割り当て(Distribution)

次に、それぞれのタスクを「得意なエージェントに割り当てる」 (スキルベース or ランダム or 会話による調整)

③ 実行と連携(Collaboration)

最後に、各エージェントがタスクを自律的に実行しつつ、互いに情報共有しながら連携


🧠 CWDモデルの強み

特徴 説明
✅ 分業による効率化 複数のタスクを同時並行で処理できる
✅ 専門性の活用 各エージェントに得意分野を設定できる(例:分析専門、執筆専門など)
✅ 柔軟なタスク再割り当て 誰かが失敗したとき、別のエージェントが引き継げる
✅ 拡張性が高い 新しいメンバー(AI)を追加しやすい設計

🧪 具体例:出張レポートを作るAIチーム

【目的】出張のレポートを作成

┌────────────┐
│ 🎫 フライト手配AI         │ ← 航空便を検索・予約
└────────────┘
           ↓
┌────────────┐
│ 🏨 ホテル予約AI           │ ← 会議場近くの宿を手配
└────────────┘
           ↓
┌────────────┐
│ 📋 レポート作成AI         │ ← 旅程情報を元に報告書を作成
└────────────┘
           ↓
┌────────────┐
│ 📧 通知AI(成果報告)     │ ← 管理者にメール送信
└────────────┘

このように、タスクを役割ごとに分けてエージェントが担当し合うことで、 人間のチームと同じように「協力して仕事をこなす」ことが可能になります。


⚠️ CWDモデル設計時の注意点

注意点 解説
タスク分割が粗すぎる エージェントが困惑して連携できなくなる
情報の受け渡し設計不足 データの引き継ぎができず、エラーになる
責任の曖昧化 「誰がどこまでやるか」が明確でないと全体が止まる

→ 解決策として、役割定義・入力出力設計・完了条件をあらかじめ明文化しておくことが重要です。


✅ CrewAIやAutoGenとの関係

CWDモデルは、以下のようなフレームワークの基本思想にもなっています:

フレームワーク CWDとの関係
CrewAI エージェントに「役割」と「タスク」を割り当てて連携させる設計そのもの
AutoGen 会話を通じてタスク分担を交渉・再調整できる=動的なCWD
LangGraph 状態と遷移を活用して、連携プロセスを制御可能にする設計支援ツール

✍️ まとめ

  • CWDモデルとは、複数エージェントが協力しながら仕事を分担する設計手法
  • 「分解→割り当て→連携」の3段階で機能する
  • 分業により処理効率・柔軟性が高まり、実用化しやすいチーム型AIが実現できる
  • 重要なのは、明確な役割設計と情報の受け渡し

Best regards, (^^ゞ