Hello there, ('ω')ノ
前回は、AIにとっての「知識」とは何か?というテーマを扱いました。 今回はその続きとして、「その知識をどうやって表現するのか?」という技術的な土台を掘り下げていきます。
登場するのは2つのキーワード:
- 🕸️ セマンティックネットワーク(Semantic Network)
- 🧩 フレーム表現(Frame Representation)
この2つは、AIエージェントが「意味を理解し、行動を決める」ための“知識の設計図”のようなものです。
🕸️ セマンティックネットワークとは?
▶ 定義:
概念(言葉)同士の“関係”をつなげたネットワーク構造で、意味のつながりを表現する方法
簡単に言えば、「○○は△△である」「○○は□□を使う」など、 “意味のあるつながり”を線でつなげた図です。
📷 イメージ図(テキストで表現)
[猫] ──は──▶ [動物] [猫] ──食べる──▶ [魚] [魚] ──は──▶ [生き物]
このように、**概念(ノード)と関係性(リンク)**をつないで、知識の構造を表現します。
✅ セマンティックネットの強み:
特徴 | 内容 |
---|---|
🔍 意味の類似性がわかる | 「猫」と「動物」の距離感が測れる |
🔁 推論に使える | 例:「猫」→「動物」→「生きている」→「餌が必要」など |
🔎 ナビゲーションが得意 | 関連知識をたどりながら情報を拡張できる |
🧠 AIにとっての使い道: 質問応答、意味検索、関連ワード展開などで活用されます。
🧩 フレーム表現とは?
▶ 定義:
特定の概念や出来事に関する情報を、属性(項目)ごとに整理した枠組みで表す方法
例えるなら、「データベースの1行」や「記入済みの申込書」のようなイメージです。
📄 フレームの例:ホテル予約
Frame: ホテル予約 ├─ 場所: 東京 ├─ 日付: 2025年5月10日 ├─ 宿泊数: 1泊 ├─ 予算: 15,000円 ├─ 利用者: ビジネス出張
このように、特定の文脈に関連する情報を“まとめて持つ”構造です。
✅ フレーム表現の強み:
特徴 | 内容 |
---|---|
🧩 文脈の理解に強い | 「これは旅行の話」「これは医療の話」などの識別ができる |
🔧 情報の埋め合わせができる | 「場所」や「日付」が抜けていたら質問して補完可能 |
🤝 会話との相性が良い | チャット形式の対話で柔軟に使える構造 |
🧠 AIにとっての使い道: タスク管理、スロットフィリング(情報の穴埋め)、業務処理の自動化などで使われます。
🧠 セマンティックネットとフレームの違い(比較表)
項目 | セマンティックネット | フレーム表現 |
---|---|---|
構造 | 概念同士のネットワーク | 属性と値のまとまり |
主な用途 | 意味検索・推論・関連づけ | 状況把握・対話・知識の整理 |
柔軟性 | 高い(概念が増やしやすい) | 中(定型の枠に沿って追加) |
代表的な使い方 | 意味検索AI、ナレッジグラフ | チャットボット、業務支援AI |
🛠 どちらを使うべきか?
- 情報間の関係性を活かしたいとき → セマンティックネット
- 具体的な状況を整理・管理したいとき → フレーム表現
そして多くの実用AIでは、両者を組み合わせて使うことが主流です。
✍️ まとめ
- セマンティックネットは「言葉のつながりを表す地図」
- フレーム表現は「特定の状況を整理する情報シート」
- どちらもエージェントAIの“意味理解”に欠かせない知識の土台
- 実務に応じて適切な使い分けや組み合わせが重要
Best regards, (^^ゞ