Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第11回:AIが“知識”を持つとはどういうことか?

Hello there, ('ω')ノ

私たち人間は「知識がある人」「物知りな人」と聞くと、「色々なことを覚えている」「経験が豊富」というイメージを持ちます。

では、AIに対しても「このAI、知識があるなぁ」と感じる場面がありますよね。 でもその「知識」とは、いったい何なのでしょう?


🧠 そもそも「知識」とは何か?

AIの世界では、知識は次のように定義されます。

知識とは、世界や対象についての「意味ある情報」や「関係性の理解」を形式化したもの

つまり、単なる情報の羅列ではなく、 「どういう事実が、どうつながっているのか」を構造として持っていることがポイントです。


🧾 AIにおける「知識」の3つの形

種類 内容
✅ 宣言的知識 「◯◯は◯◯である」という事実 東京は日本の首都である
✅ 手続き的知識 「◯◯するにはどうするか」という方法 コーヒーの淹れ方
✅ 条件付き知識 「もし◯◯なら、◯◯せよ」というルール 雨が降ったら傘を持っていく

これらの知識を**どう構造化して保持するか?**が、AIの「知識の設計」になります。


🤖 GPT型AIの「知識」はどうなっているのか?

ChatGPTなどの生成AIは、「知識を文章として記憶している」のではありません。 彼らは、大量の文章データから「次に来そうな言葉のパターン」を統計的に学習しています。

💬 たとえば:

「イチゴは…」と入力すると、 → 「赤い」「果物」「甘い」などが高確率で続くと予測される。

これはいわば、「知識のように見える言語パターン」であり、 意味を理解しているわけではないのです。


🧩 エージェント型AIでは「知識」はどう扱う?

エージェントAIにとっての知識は、“行動の根拠”になります。 つまり「どうしてその判断をしたのか?」の理由になるものです。

✅ 知識ベース(Knowledge Base)を活用する

多くのエージェントシステムでは、 知識をデータベース的に構造化して管理します。

例:旅行アシスタントの知識

種別 内容例
地理知識 東京駅 ⇔ 羽田空港は30分
価格知識 通常期のホテル料金は1泊1万円前後
ビジネスマナー 初対面の相手には敬語を使う

このような「状況判断に役立つ知識」を持っているからこそ、 AIが“それらしい”判断を下せるのです。


🧠 知識の表現方法(人間には見えない内部構造)

エージェント型AIでは、知識は**意味を持った「構造データ」**として記録されます。

表現方法 説明
セマンティックネット 概念同士の関係をネットワークで表現 「猫→は→動物」「猫→食べる→魚」
フレーム(枠組み)表現 ある状況に関する属性をひとまとまりで定義 「ホテル」→ 住所、料金、評価など
条件ルール ルールベースの判断 「IF 予算<50000 THEN 安ホテルを選ぶ」

こうした構造があるからこそ、AIは「考える」だけでなく、「説明できる」ようにもなります。


⚠️ 単なる情報と“知識”は違う

単なる情報 知識
バラバラのデータの集まり 関係性があり意味が通る
整理されていない 構造的に管理されている
判断に使えないこともある 行動や意思決定の材料になる

✍️ まとめ

  • AIにとっての「知識」は、意味のある情報とそのつながりのこと
  • GPT型AIは、文章パターンから“知識っぽく見える”出力をしている
  • エージェント型AIでは、知識は「判断の根拠」として構造的に管理されている
  • 「知っている」と「使える」は別。行動するAIには“使える知識”が不可欠

Best regards, (^^ゞ