Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第8回:システム構成を知る:エージェントの3つのアーキテクチャ

Hello there, ('ω')ノ

これまでの記事では、エージェント型AIは「自律的に考えて行動する存在」として紹介してきました。

では、そのエージェントはどんな「脳の仕組み」で動いているのでしょうか? 今回は、AIエージェントの設計パターンとして代表的な**3つのアーキテクチャ(構成法)**を紹介します。

それぞれ「情報の処理方法」や「意思決定のやり方」に違いがあり、目的に応じて使い分けられています。


🧠 アーキテクチャとは?

アーキテクチャ(architecture)=エージェントの「思考の構造」

人間でいえば、

  • 「どうやって情報を受け取り」
  • 「どう考えて判断し」
  • 「どの順番で行動するか」

──といった、**“頭の中の仕組み”**を決める設計図です。


⚙️ 3つの代表的なアーキテクチャ

アーキテクチャ 特徴 適した用途
① ルールベース型(Reactive) 即反応型/単純で速い 単純作業・センサー制御など
② ゴール指向型(Deliberative) 計画型/考えて行動 複雑なタスク、対話AIなど
③ ハイブリッド型(Hybrid) いいとこ取り 現実世界の業務AI、汎用型

① 即反応型(Reactive Architecture)

状況に対して「反射的」に動くタイプ。 「見たら動く」「聞いたら返す」シンプルな構造です。

📦 構成イメージ

[ センサーや入力 ] → [ ルールに基づいて即反応 ] → [ アクション ]

🧠 例えるなら: 猫が動いた → カメラが即座に追尾開始(考えてないけど反応は早い)

メリット

  • 高速、シンプル、軽量
  • 実装も簡単

デメリット

  • 状況判断が苦手
  • 学習や柔軟な対応ができない

🧰 使用例

  • ロボットの障害物回避
  • 自動ドア、感知センサー

② ゴール指向型(Deliberative Architecture)

目的を考えて、行動計画を立てる「思考型」。 「この目標を達成するには、どの手順が最適か?」を考える構造です。

📦 構成イメージ

[ 状況を把握 ]  
     ↓  
[ ゴールと手段を分析 ]  
     ↓  
[ 最適な計画を立てる ]  
     ↓  
[ 行動実行 ]

🧠 例えるなら: 「駅まで行きたい → 電車かタクシーか? → 予算・時間で判断して選ぶ」

メリット

  • 柔軟性が高く、複雑な判断が可能
  • 中長期的なタスクに強い

デメリット

  • 処理が重く、時間がかかる
  • 環境変化に弱いケースもある

🧰 使用例

  • 会話AI(チャットボット)
  • スケジュール調整エージェント

③ ハイブリッド型(Hybrid Architecture)

即反応型+ゴール指向型の“いいとこ取り”の構造。

現実の業務や複雑なタスクでは、 「すぐに反応すべき場面」と「しっかり考えるべき場面」の両方が存在します。

📦 構成イメージ

[ 外部状況 ] → 
    ├─ 即時反応モジュール(反射行動)  
    └─ 思考モジュール(計画と推論)  
            ↓  
       [ 統合して実行 ]

🧠 例えるなら: 「急にアラートが鳴った → まず止める → その後、何が起きたかを分析し対処を考える」

メリット

  • 柔軟で安定的
  • 現実世界に近い思考パターン

デメリット

  • 実装が複雑になる
  • 設計・管理コストが高い

🧰 使用例

  • エンタープライズ向けAIエージェント
  • 自律走行ロボット、AIカスタマーサポート

📝 まとめ表:3つのアーキテクチャの違い

種類 反応速度 思考の深さ 適した場面
即反応型 ◎ 速い × 浅い センサー連動、即応処理
ゴール指向型 △ やや遅い ◎ 深い 対話、計画タスク
ハイブリッド型 ○ 両立 ○ 両立 業務自動化、複雑判断

✅ まとめ

  • AIエージェントの「考え方の構造」には3つの型がある
  • 単純な動作には即反応型、思考型にはゴール指向型が向いている
  • 現実のビジネスでは、両方を組み合わせたハイブリッド型が主流

Best regards, (^^ゞ