Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第54回:複数のLLMを使い分けるには?LangChainの工夫

Hello there, ('ω')ノ

「この質問、GPT-4じゃなくてもいいのでは…?」

RAG(検索拡張型生成)やAIエージェントを構築していると、
こんな疑問がわいてきませんか?

  • 「ちょっとした処理に毎回GPT-4を使うのはコストがもったいない…」
  • 「画像処理ならGeminiのほうが得意かも」
  • 「出力の安定性はClaudeのほうが高い気がする」

実は、こうしたニーズに応えるのが、LangChainによる「LLMの使い分け」設計です!


💡 複数のLLMを使うと何がうれしいの?

メリット 内容
✅ コスト最適化 高精度が必要な処理だけGPT-4、他はGPT-3.5やClaudeを使う
✅ 得意分野の使い分け 画像 → Gemini、要約 → Claude、長文処理 → GPT-4 Turbo など
✅ 障害回避 API制限や障害時にも「代替モデル」に自動切り替えが可能
✅ パフォーマンスチューニング レスポンス時間・安定性・生成スタイルを使い分けて最適化

🧠 具体的にはどう使い分ける?

📌 用途別 LLM の得意分野マップ(2024年現在の傾向)

処理 おすすめモデル 理由
高精度な要約 Claude 2 / 3 文脈保持と簡潔表現に強い
大量のデータ処理 GPT-4 Turbo コンテキストウィンドウが最大級
コスパ重視の応答 GPT-3.5 基本的な応答ならこれで十分
表・図・画像の理解 Gemini Pro Vision マルチモーダルに強い
会話の一貫性 Claude 長い対話の流れを保ちやすい

🛠 LangChainで複数LLMを使い分ける方法

LangChainでは、複数のLLMを条件付きで切り替える設計が可能です。


✅ 方法①:目的に応じて明示的に分岐

from langchain.chat_models import ChatOpenAI, ChatAnthropic

gpt4 = ChatOpenAI(model_name="gpt-4")
claude = ChatAnthropic(model_name="claude-2")

def select_llm(task_type):
    if task_type == "要約":
        return claude
    elif task_type == "分析":
        return gpt4

➡ タスクに応じて適切なモデルを選ぶロジックを組み込めます。


✅ 方法②:ルーター(RouterChain)で自動選択

LangChainのRouterChainを使えば、入力内容に応じて自動でLLMを振り分けることも可能です。

from langchain.chains.router import MultiPromptChain

router_chain = MultiPromptChain.from_prompts({
    "画像説明": gemini_prompt,
    "テキスト要約": claude_prompt,
    "その他": gpt4_prompt
}, default_chain=gpt35_chain)

➡ ルールベースでもLLM選定を自動化できます!


✅ 方法③:冗長化(フェイルオーバー)も可能

try:
    response = gpt4_chain.run(input)
except Exception:
    response = claude_chain.run(input)  # 代替モデルで再実行

➡ API障害時でも、システムが止まらない設計が可能です。


🧪 運用上の注意点

注意点 解説
レスポンスの形式が異なる 各モデルで出力形式や構文が微妙に違うので、事前に正規化処理を用意する
同じプロンプトでも出力がブレる モデルごとにプロンプトを最適化(チューニング)しておく
利用コストの管理 複数モデルのAPI使用量を個別にモニタリングする仕組みが必要
デバッグが複雑になる ログに「どのモデルが使われたか」を記録しておくことが大切

🎯 使い分けパターンの設計例(実務向け)

タスク 使用LLM 理由
社内FAQ応答(基本) GPT-3.5 コストと速度を優先
複雑な社内規定の要約 Claude 2 簡潔さと正確さのバランスが良い
商品マニュアルの読み取り GPT-4 Turbo 大容量コンテキストに対応
PDF内の図・表の理解 Gemini Pro Vision 画像対応モデルで構成分析が可能

✅ まとめ:LLMを選ぶ力が、RAG活用の“差”をつくる!

  • LLMは「どれか1つ」ではなく、用途に応じて組み合わせる時代
  • LangChainを使えば、LLMの切り替え・併用・自動化も簡単に実装可能
  • コスト・精度・パフォーマンスの最適解を追求するには、LLMの特性を活かした設計がカギ!

Best regards, (^^ゞ