Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第41回:RAGを評価する理由と方法とは?

Hello there, ('ω')ノ

「RAG、作ってはみたけど…これってうまくいってるの?」

RAG(検索拡張型生成)を社内に導入したものの、
- 回答の質は十分?
- 利用者の満足度はどう?
- 業務改善に貢献しているのか?

…といった「使ってみた結果の評価」をあまり行わないケース、実は多いんです。

しかしRAGは、“作って終わり”ではなく、継続的に育てていく仕組み
そのためには、評価(評価指標・方法)を明確に持つことがとても重要です。


✅ なぜRAGの評価が必要なのか?

理由 内容
継続的な改善のため どこがよかったか、どこが課題かを把握できる
投資対効果の見える化 コストに見合う成果が出ているかを判断する材料に
利用拡大の説得材料 他部門展開や本番導入の際に「実績」として使える
誤答やリスクの早期発見 ハルシネーションや誤情報を可視化できる

📌 「とりあえず動く」から「業務で信頼して使える」へのステップアップに欠かせません。


🎯 評価の観点は主に3つ!


検索の正確性(Retrieval Evaluation)

指標 内容
Recall(再現率) 正しい文書がどれだけ検索されているか
Precision(適合率) 関係ない文書が混ざっていないか
検索チャンクの妥当性 本当に回答に必要な情報だけを引けているか?

🔍 検索精度が低いと、生成AIに渡す情報そのものが間違っていることになります。


生成の品質(Generation Evaluation)

指標 内容
内容の正確性 出典に基づいた回答になっているか
読みやすさ・自然さ 表現がわかりやすく丁寧か
出典表示の有無 情報の裏付けが明記されているか
ハルシネーション率 “それっぽいけど間違い”の発生頻度

📌 生成結果の「伝え方」や「根拠表示」は、実務で使えるかどうかの決定要因になります。


ユーザー体験・業務効果(UX / Impact)

指標 内容
回答までの時間短縮 従来業務と比べてどれくらい時間が減ったか
使いやすさ UI・操作性にストレスがないか
再利用率 何度も使いたいと思えるか?(継続利用)
満足度アンケート 「役に立った」と感じるか?(主観的評価)

📌 数値だけでなく、“使う人の実感”も非常に大切な評価軸です。


🛠 実際の評価のやり方(ステップ形式)


✅ Step 1:質問セットを用意(10〜30件程度)

  • 実際の業務で使いそうな質問
  • あえて曖昧・難しい質問も混ぜておくと精度チェックに◎

✅ Step 2:RAGで回答させる

  • 出典表示あり/なしの両方をテストして比較
  • 回答ごとにログを残す(内容・出典・時間など)

✅ Step 3:人による評価を実施(3人以上推奨)

評価項目 5段階 or ○×
回答の正確性 出典と一致しているか?誤解がないか?
表現のわかりやすさ 初心者でも理解できるか?
出典の信頼性 情報源として妥当か?
質問と回答の合致度 聞いた内容に答えているか?

➡ ExcelシートやGoogleフォームを使って簡単に記録できます。


✅ Step 4:ユーザーからのフィードバック収集

  • 「どこで役に立ったか?」
  • 「改善してほしい点は?」
  • 「今後どんな質問に答えてほしいか?」

利用者の声=今後の改善素材そのもの!


📋 評価結果をまとめるときのポイント

項目
検索精度 正答率80%、関係ない文書の混入10%
生成品質 回答満足度4.2/5点中
UX指標 平均回答時間15秒(従来は3分)
利用意向 「継続して使いたい」回答者92%

📌 定量・定性の両面で示すことで、社内報告・展開にも説得力が生まれます!


まとめ:「評価すること」がRAG活用の第一歩になる

  • RAGは“仕組みを作って終わり”ではなく、使い続けて育てる仕組み
  • 検索・生成・UXの3視点で評価すると、課題と強みが明確になる
  • 小規模PoCでも、評価設計を入れておくことで、本番導入に向けた確かな一歩に!

Best regards, (^^ゞ