Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第39回:生成結果の信頼性を高める工夫とは?

Hello there, ('ω')ノ

AIの答え、「なんとなく不安…」をなくすには?

RAG(検索拡張型生成)を業務に活用する中で、多くの方が感じるのが、
「この答え、本当に正しいの?」という不安です。

いくら自然な文章で返ってきても、それが根拠のない内容(ハルシネーション)だったら意味がありません。

逆に、「これはこの文書のここに書いてあることですよ」と出典付きで示されるだけで、
回答の信頼度は一気に跳ね上がります。

今回は、RAGの生成結果の信頼性を高めるための具体的な工夫と設計ポイントをわかりやすくご紹介します!


✅ なぜ信頼性が課題になるのか?

理由 詳細
LLMは“それっぽく答える”力が高すぎる 間違った情報でも自然に表現してしまう(ハルシネーション)
情報の根拠が見えない どこからその情報を引っ張ってきたのかが不明瞭
社内で共有しにくい 出典がないと、上司や他部署への説明材料にならない

📌 生成AIは「表現力」に長けているからこそ、“事実の裏付け”が必要不可欠なんです。


🧩 信頼性を高める5つの工夫


① 出典情報(メタデータ)を必ず保持・活用する

RAGに取り込む文書(チャンク)には、以下のようなメタデータ(情報の付帯データ)を付けておくことが重要です。

付けるべき情報
ファイル名 経費マニュアル_2024.pdf
セクション名 第3章「交通費について」
更新日 2024/04/01
作成者 総務部

🧠 → これらの情報を生成結果に組み込むことで、根拠を可視化できます。


② 出典付きで回答させるプロンプトを設計する

以下の情報のみを参考に、質問に回答してください。  
回答の最後に、引用元のファイル名とセクション名を記載してください。  
参考情報にない場合は「不明」と答えてください。

➡ 出力例:

回答:「出張時の宿泊費は、1泊上限15,000円まで支給されます。」
出典:「経費マニュアル_2024.pdf 第4章『宿泊費』」

📌 これだけで、受け手の安心感が全く違います!


③ 「不明なら無理に答えない」制約を入れる

参考情報に該当する内容が見つからない場合は、「情報が見つかりませんでした」とだけ答えてください。  
想像や憶測は行わないでください。

➡ 回答しない勇気をAIに持たせる設計が、正直で誠実なAI運用を支えます。


④ 複数チャンクの情報が混ざらないように調整する

1つの回答で複数のチャンク(文書断片)を参照すると、異なる情報が混ざって誤解を生むことがあります。

🔧 対策: - 上位3チャンク程度に絞る(検索結果の制限)
- 「出典ごとに情報を区切る」プロンプト構造にする
- チャンク化の単位を調整して、意味の塊ごとに分ける


⑤ 回答内容と出典が一致しているかをテストする

PoCや導入初期には、“出典と答えがちゃんと一致しているか”を人の目で確認するステップが必要です。

✅ チェック項目:

項目 内容
回答内容は正しいか? 出典に書かれている内容と一致しているか
出典は明記されているか? ファイル名・章名・日付など
憶測や過剰な言い換えがないか? 表現が変わっても意味がブレていないか

📋 こんな出力が理想!

質問:「営業交通費の精算期限は?」

回答:「営業交通費は、利用日の翌月10日までに申請してください。」
出典:「経費マニュアル_2024年版/第2章『申請期限について』」

👉 明快、短く、出典付き!
これが信頼される生成結果の基本形です。


✅ さらに一歩進んだ工夫(上級編)

  • スコア付きの出典表示:「信頼度80%」などの目安を提示
  • 出典へのリンク生成:NotionやSharePointのURLを自動で貼る
  • 出典を複数提示:「2つのマニュアルに記載があります」と補足させる

📌 業務システムや社内ポータルと連携すれば、ドリルダウンも可能に!


まとめ:「信頼性」は技術と設計の両輪でつくる

  • 信頼される生成結果には、「根拠の明示」が不可欠
  • メタデータ+プロンプト+出力形式の工夫で、回答の透明性が向上
  • 「間違ってもいいAI」ではなく、「信頼して任せられるAI」へ進化させることがゴール!

Best regards, (^^ゞ