Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第12回:「ファインチューニング」と「RAG」の違いを知る

Hello there, ('ω')ノ

ChatGPTに「会社のルール」を教えたいけど…

生成AIを本格的に社内で活用しようとすると、こんな疑問にぶつかりますよね。

  • 「うちの会社の情報を覚えさせたい」
  • 「社内ルールをAIに反映したい」
  • 「専門用語を理解させたい」

そこでよく出てくるのが「ファインチューニング(Fine-tuning)」と「RAG(検索拡張型生成)」という2つの選択肢です。

でも、この2つ、似ているようで、実はまったく違うアプローチなんです。

今回は、業務でAIを使いたい方のために、両者の違いと使い分けのポイントをやさしく解説します。


それぞれの定義をざっくり一言で!

技術 一言で言うと…
ファインチューニング AIの“脳みそ”を再教育して、情報を埋め込む方法
RAG AIに“外部の資料”を参照させて、答えを導く方法

ファインチューニングとは?

ファインチューニングとは、すでに訓練されたAIモデル(たとえばGPT-3など)に、追加のデータを使って再学習させることです。

💡 たとえば…

  • 自社の用語、表現、文体などを学ばせる
  • 特定の製品知識や法律知識を深めさせる
  • 独自のFAQに特化した応答を可能にする

📦 データを“モデルの中”に取り込むため、一度学習すればその知識をいつでも活用できます。


RAG(検索拡張型生成)とは?

一方、RAGはAI自体を再学習することなく、外部の情報を“参照しながら”回答するというアプローチです。

📚 データをあらかじめベクトル化して保存
🧠 ユーザーの質問に応じて“意味が近い情報”を検索
✍️ その情報をLLMに渡して、回答を生成

つまり、AIは「覚えている」のではなく「探して、読んで、答える」スタイルなんですね。


決定的な違い:「データをどこに置くか」

観点 ファインチューニング RAG
知識の格納場所 モデルの中に埋め込む(脳内) 外部データベースに保存(参照)
回答の根拠 明示されない(中で学んだ内容) 出典付きで表示可能(元文書)
更新のしやすさ 再学習が必要(手間とコスト大) 外部データを差し替えるだけでOK
セキュリティ制御 複雑になりがち(公開モデルなら注意) 社内のみで完結も可能(ローカル運用)

メリット・デメリットを整理!

✔ ファインチューニングのメリット

  • 常に同じ答えを返せる(安定性)
  • オフライン環境でも利用可能
  • 極めて専門性の高い分野で効果を発揮

🔻 デメリット

  • 開発に時間とコストがかかる
  • 情報の更新が面倒(再訓練が必要)
  • 回答に「根拠」がない

✔ RAGのメリット

  • 社内データを即時反映できる
  • 出典付きの回答で信頼性が高い
  • 汎用モデルを使うので初期導入が簡単

🔻 デメリット

  • データの質がそのまま反映される(ゴミデータ注意)
  • 適切な検索・分割ができないと精度が下がる
  • 外部APIに依存する場合、セキュリティ要件に注意

どちらを選ぶべき?業務別のおすすめ

業務用途 向いている方法 理由
社内FAQの対応 RAG データ更新が頻繁、出典が必要
医療・法律の専門応答 ファインチューニング 高い専門性が求められる
新人教育用チャットボット RAG マニュアル更新に柔軟に対応できる
ブランド文体での文書生成 ファインチューニング 固定された語調・スタイルが必要

実際は「組み合わせ」が最強

最近では、ファインチューニング+RAGのハイブリッドで運用する事例も増えています。

  • 基本の用語や語調 → ファインチューニングで学習
  • 最新の社内データ → RAGでリアルタイム参照

これにより、一貫性と柔軟性の両立が可能になります。


まとめ:「覚えさせる」か「調べさせる」か

  • ファインチューニングはAIの“再教育”=知識を中に埋め込む
  • RAGはAIの“読解力活用”=外の情報を引き出して使う
  • コスト・精度・更新性など、用途に応じて使い分けが必要
  • 多くのビジネスシーンでは、RAGの方が実用性が高い
  • 両方を組み合わせることで、最強の業務AIが作れる!

Best regards, (^^ゞ