Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第9回:「ベクトルデータベース」って何ができるの?

Hello there, ('ω')ノ

普通のデータベースと、何が違うの?

「データベース」と聞くと、Excelのような表形式で
「顧客名」「住所」「売上」などを管理するイメージがあるかもしれません。

でも、RAGで使われるのは少し特殊なデータベース──
それが ベクトルデータベース(Vector Database)です。

今回は、ベクトルデータベースの意味・役割・ビジネス上の活用メリットを、非エンジニアの方でもわかるようにやさしく解説していきます。


ベクトルデータベースとは?

簡単に言うと、

📦 “意味を持った文章”を保存し、似た意味のものを素早く見つけるためのデータベース

です。

RAGにおいては、以下のような情報が保存されます:

  • 業務マニュアルの一節
  • FAQの各項目
  • 契約書の条文
  • 社内プレゼン資料の抜粋 など

それぞれがベクトル(=数値のかたまり)に変換され、意味での検索が可能な形で保存されるのです。


なぜ普通のデータベースじゃダメなの?

一般的なデータベース(SQL型など)は、「キーワード検索」には強いですが…

❌「言い回しが違うだけで意味が同じ」
❌「曖昧な表現や要望ベースの質問」
❌「文脈を加味して検索したい」

といった“意味”に基づく検索には弱いのです。


ベクトルデータベースのしくみ(図解)

[テキスト] →(埋め込み)→ [ベクトル] → ベクトルDBに保存

【質問】
「経費申請の締切は?」
      ↓(ベクトル化)
意味が近い文章を検索!
      ↓
「経費申請は毎月20日までに…」という文書が見つかる!

このように、ベクトルDBは“意味の近い情報を数値空間で検索する仕組み”を持っています。


ベクトルデータベースでできること

✅ 1. 意味に基づいた検索(セマンティック検索)

  • 類義語や言い換えに対応
  • 「書き方は違うけど、言いたいことは同じ」を見抜ける

✅ 2. スコア付きで関連度を返す

  • 「どれくらい近いか?」を数値で評価(類似度スコア)
  • 上位5件だけ抽出するなどの制御が可能

✅ 3. 質問に対して“最適な文脈”を見つける

  • ChatGPTなどのAIに渡す「根拠情報」を的確に探せる
  • RAGの中核を支える検索エンジン的な存在

有名なベクトルデータベース例

名前 特徴
FAISS(Meta製) 軽量で高速、ローカルでの開発に最適
Pinecone クラウド対応、拡張性が高く商用利用に向いている
Weaviate スキーマ設計がしやすく、外部データ連携も強い
Chroma LangChainと相性がよく、初心者向けPoCにおすすめ

RAGを導入する際は、使いやすさ・コスト・運用規模などを踏まえてベクトルDBを選ぶのがポイントです。


ベクトルデータベースのビジネス活用例

業務分野 活用内容
カスタマーサポート 顧客の質問に“意味が近いFAQ”を即提示し、対応時間を短縮
人事・総務 規定やルールの検索を、言葉の違いに左右されずにできる
法務 類似した契約条件を過去の契約書から探し出せる
営業 過去の提案書から“似た事例”を発見し、提案の質を向上

導入時のポイント

  • 対象データの粒度をどう分割するか?
     ⇒ 文単位・段落単位など、分け方で検索精度が変わる

  • どのEmbedding技術を使うか?
     ⇒ OpenAIのAPI?ローカルBERT?コスト・速度で選ぶ

  • 更新・再学習の頻度をどうするか?
     ⇒ 定期的な更新で“最新の知識”を維持できる


まとめ:ベクトルデータベースは“意味検索”の土台

  • ベクトルデータベースは、AIが“意味で探す”ための必須インフラ
  • 通常のキーワード検索では見つからない情報にも対応できる
  • RAGにおいては「検索→生成」の検索部分の要を担う
  • ビジネス現場での「探す手間」「探し間違い」を大幅に減らせる

Best regards, (^^ゞ