Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第5回:なぜ今RAGが注目されているのか?

Hello there, ('ω')ノ

「生成AIブーム」の次に来るもの

2023年、ChatGPTの登場とともに、生成AIの活用が一気に加速しました。
社内のあちこちで「ChatGPTに聞いてみたら?」という会話が生まれたのを覚えている方も多いはずです。

でも今、ビジネスの現場では「ChatGPTだけでは物足りない」という空気も広がりつつあります。

  • 社内の情報には答えてくれない
  • 内容の正しさに不安がある
  • 回答に根拠がない

この「3つのもやもや」に対応する新たな解決策──それが RAG(検索拡張型生成) です。

では、なぜ今このタイミングで、RAGがこれほど注目されているのでしょうか?


理由①:ChatGPTなどの「汎用型AI」に限界が見えてきた

生成AIのベースとなるLLM(大規模言語モデル)は、膨大なデータで訓練されています。
その反面、自社固有の情報業界特有の文書には対応できません。

たとえば──

  • 社内規定や業務マニュアル
  • 契約書や申請書のテンプレート
  • 過去の議事録やメールのやり取り

こうした非公開データを参照するには、RAGのような仕組みが不可欠です。


理由②:「データを活かすAI」へのニーズが高まっている

企業にはすでに膨大なデータ資産があります。

  • ファイルサーバーのマニュアル類
  • FAQや社内ポータルの情報
  • 社員が作成したPowerPointやExcel資料

ところが実際には、「どこに何があるか分からない」「検索しても見つからない」という悩みが多くの現場で起きています。

📌 つまり「AIに新しいことを学ばせる」よりも
「社内の知識をきちんと使えるようにする」ことの方が今、重要になってきているのです。

その役割を担えるのが、RAGです。


理由③:RAGの技術が「使いやすく」なってきた

以前は、RAGの構築にはかなりの技術的ハードルがありました。

  • ベクトル化(埋め込み)の仕組みが難しい
  • ベクトルデータベースの導入に知識が必要
  • LLMとの連携やプロンプト設計も専門的だった

ところが現在では、以下のような開発ツールや支援フレームワークが整ってきています。

ツール名 特徴
LangChain RAG開発用のオープンソースフレームワーク。多機能で拡張性高
LlamaIndex ドキュメントの読み込みと検索処理に特化したツール
Chroma / FAISS 高速なベクトル検索を可能にするデータベース
Gradio / Streamlit ユーザーインターフェースを簡単に作れるツール

これにより、技術者がいない中小企業でもRAGにトライしやすくなったのです。


【注目事例】各業界で広がるRAG活用の最前線

ここからは、実際にRAGがどのように使われているのか、業界別の事例を見てみましょう。


🏥 医療業界:最新文献と社内ナレッジで回答

  • 膨大な論文・ガイドラインを事前に取り込み
  • 医師や看護師の問い合わせに対し、エビデンス付きでAIが回答
  • 「間違いが許されない分野」だからこそ、根拠が示せるRAGが重宝されている

📚 教育・研修分野:個人に合わせた教材を自動生成

  • 社内研修用資料を読み込ませ、個人ごとに「理解度に合わせたQA」や「要約」を自動生成
  • 教員や人材育成担当者の時間を大幅に削減

📞 カスタマーサポート:FAQ対応を一気に自動化

  • 過去の対応履歴、マニュアル、製品仕様書などをAIに読み込ませ
  • 顧客の質問に対して、過去事例を引用しながら正確に回答
  • 対応品質が標準化され、新人でも即戦力に

💼 コンサル・法務・士業:過去の事例を“瞬時に検索”

  • 過去の提案書、契約書、法律相談の記録などをベクトル化
  • 新しい案件にも「類似事例をもとにした提案」が可能に
  • 調査業務の工数を大幅に削減

未来視点:「マイAI」が当たり前の時代に

今後の展望として、RAGは「企業ごと」だけでなく、「個人ごとのAI体験」にも広がっていくと予想されます。

たとえば──

  • 私専用の秘書AI(社内情報に基づいたサポート)
  • 担当顧客別の提案AI(過去商談を元にしたアドバイス)
  • 部署ごとのナレッジAI(部署限定の情報を元に回答)

▶ これらはすべて「RAG × 生成AI」で実現可能です。


まとめ:RAGは“生成AIの次の一手”

  • ChatGPTの次に注目されているのが「RAG」
  • 自社の情報を活かす“使えるAI”として脚光を浴びている
  • 各業界でRAGの活用事例が続々登場中
  • 技術的ハードルも下がり、今が導入の好機!

Best regards, (^^ゞ