Hello there, ('ω')ノ
どんな技術でも、“万能”ではない
これまでの記事で、RAG(検索拡張型生成)の魅力や仕組みを紹介してきました。
「社内データをAIに読ませて、質問に答えさせる」
──この仕組みができれば、業務効率の大幅な向上が期待できますよね。
ただし、どんな技術にも「強み」と「注意点」があるのが現実です。
今回は、「RAGはどこが優れていて、どこに気をつけるべきか?」を、ビジネスの視点でわかりやすく整理していきます。
✅ RAGの強み①:社内特化の“正しい回答”が得られる
RAGの最大のメリットは、「AIが社内情報をもとに回答できる」という点です。
たとえば──
シーン | 従来のAI | RAGなら… |
---|---|---|
新人の研修中 | 一般的な答えだけ | 社内マニュアルに沿った説明が可能 |
契約内容の確認 | 回答できない | 過去の契約書から該当箇所を自動抽出 |
システム設定の方法 | 推測で返答 | 手順書の該当部分を引用して回答 |
従来の生成AIは「汎用的な知識」に強く、
RAGは「自社の業務に即した答え」に強い──この違いが大きな価値です。
✅ RAGの強み②:再学習なしで“最新情報”を使える
生成AIの課題としてよくあるのが「情報が古い」問題です。
ChatGPTに聞いても、
- 社内制度の最新改定内容
- 新製品やキャンペーン情報
- 法改正や業界動向
……といった最新情報には追いついていません。
でも、RAGなら大丈夫。
🌟「新しいデータを取り込むだけで、AIの回答もアップデートされる」
という特性があるため、即時反映&メンテナンス性が高いのです。
✅ RAGの強み③:信頼性がある(出典付きで安心)
RAGは、回答の裏付けとして「どの文書の、どの部分を使ったか」を示すことができます。
この機能は、次のような場面で重宝されます。
- 法務・監査:契約や規定に基づいた回答が必須
- 医療・製薬:文献やガイドラインの根拠が求められる
- 経営判断:意思決定の裏付けが必要
▶ “出典がある生成AI”は、ビジネス現場での信頼性を大きく高めてくれます。
🛑 RAGの課題①:データの質がそのまま結果に反映される
RAGは「社内のデータを検索して使う」仕組みです。
ということは……
❗ 社内データが古い・曖昧・間違っていると、AIの答えもそれに引きずられます。
いわゆる「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミが出る)」の原則です。
データの整備やクリーニングは、RAG導入の最初の壁と言えるでしょう。
🛑 RAGの課題②:構築には一定の技術知識が必要
RAGを使うには、以下のような技術が関係してきます。
- データの分割やベクトル化(検索しやすい形式に変換)
- ベクトルデータベースの構築
- プロンプト設計(質問の仕方の工夫)
- セキュリティ設定(APIキーの管理やアクセス制限)
ノーコードツールも増えていますが、本格導入にはIT部門や外部パートナーとの連携が不可欠です。
🛑 RAGの課題③:リアルタイム性や処理速度に限界も
RAGは、「検索 → 生成」という2ステップの処理を行います。
そのため、場合によっては回答に数秒かかることもあります。
また、以下のような負荷のかかる状況では注意が必要です。
- 同時に多数のユーザーがアクセス
- 検索対象のデータが膨大
- 複数回のAI処理が必要な複雑な質問
導入時には「業務スピードへの影響が出ないか?」をテストしておくことが重要です。
✅RAGは「使えるAI」になるポテンシャルを持っている
強みと課題をまとめて整理すると、以下の通りです。
観点 | RAGの評価 | 備考 |
---|---|---|
精度・信頼性 | ◎ | 出典付き回答が可能 |
カスタマイズ性 | ◎ | 部署別・用途別に対応可能 |
即時性 | ◯ | 最新データを反映できる |
導入のしやすさ | △ | データ整備と技術的準備が必要 |
処理速度 | △ | 複雑な質問では遅延も |
まとめ:「導入前に知るべきポイント」が見えてくる
- RAGは、社内特化・高信頼な生成AIを実現できる技術
- 情報の正確性・根拠提示など、ビジネス現場に適している
- ただし、データの準備と運用体制の整備がカギとなる
- 自社のニーズと課題を見極めて、PoC(試験導入)から始めるのがおすすめ
Best regards, (^^ゞ