Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第4回:RAGの強みと課題をビジネス視点で解説

Hello there, ('ω')ノ

どんな技術でも、“万能”ではない

これまでの記事で、RAG(検索拡張型生成)の魅力や仕組みを紹介してきました。

「社内データをAIに読ませて、質問に答えさせる」
──この仕組みができれば、業務効率の大幅な向上が期待できますよね。

ただし、どんな技術にも「強み」と「注意点」があるのが現実です。

今回は、「RAGはどこが優れていて、どこに気をつけるべきか?」を、ビジネスの視点でわかりやすく整理していきます。


✅ RAGの強み①:社内特化の“正しい回答”が得られる

RAGの最大のメリットは、「AIが社内情報をもとに回答できる」という点です。

たとえば──

シーン 従来のAI RAGなら…
新人の研修中 一般的な答えだけ 社内マニュアルに沿った説明が可能
契約内容の確認 回答できない 過去の契約書から該当箇所を自動抽出
システム設定の方法 推測で返答 手順書の該当部分を引用して回答

従来の生成AIは「汎用的な知識」に強く、
RAGは「自社の業務に即した答え」に強い──この違いが大きな価値です。


✅ RAGの強み②:再学習なしで“最新情報”を使える

生成AIの課題としてよくあるのが「情報が古い」問題です。

ChatGPTに聞いても、 - 社内制度の最新改定内容
- 新製品やキャンペーン情報
- 法改正や業界動向

……といった最新情報には追いついていません

でも、RAGなら大丈夫。

🌟「新しいデータを取り込むだけで、AIの回答もアップデートされる」

という特性があるため、即時反映&メンテナンス性が高いのです。


✅ RAGの強み③:信頼性がある(出典付きで安心)

RAGは、回答の裏付けとして「どの文書の、どの部分を使ったか」を示すことができます。

この機能は、次のような場面で重宝されます。

  • 法務・監査:契約や規定に基づいた回答が必須
  • 医療・製薬:文献やガイドラインの根拠が求められる
  • 経営判断:意思決定の裏付けが必要

“出典がある生成AI”は、ビジネス現場での信頼性を大きく高めてくれます。


🛑 RAGの課題①:データの質がそのまま結果に反映される

RAGは「社内のデータを検索して使う」仕組みです。
ということは……

社内データが古い・曖昧・間違っていると、AIの答えもそれに引きずられます。

いわゆる「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミが出る)」の原則です。

データの整備やクリーニングは、RAG導入の最初の壁と言えるでしょう。


🛑 RAGの課題②:構築には一定の技術知識が必要

RAGを使うには、以下のような技術が関係してきます。

  • データの分割やベクトル化(検索しやすい形式に変換)
  • ベクトルデータベースの構築
  • プロンプト設計(質問の仕方の工夫)
  • セキュリティ設定(APIキーの管理やアクセス制限)

ノーコードツールも増えていますが、本格導入にはIT部門や外部パートナーとの連携が不可欠です。


🛑 RAGの課題③:リアルタイム性や処理速度に限界も

RAGは、「検索 → 生成」という2ステップの処理を行います。
そのため、場合によっては回答に数秒かかることもあります。

また、以下のような負荷のかかる状況では注意が必要です。

  • 同時に多数のユーザーがアクセス
  • 検索対象のデータが膨大
  • 複数回のAI処理が必要な複雑な質問

導入時には「業務スピードへの影響が出ないか?」をテストしておくことが重要です。


✅RAGは「使えるAI」になるポテンシャルを持っている

強みと課題をまとめて整理すると、以下の通りです。

観点 RAGの評価 備考
精度・信頼性 出典付き回答が可能
カスタマイズ性 部署別・用途別に対応可能
即時性 最新データを反映できる
導入のしやすさ データ整備と技術的準備が必要
処理速度 複雑な質問では遅延も

まとめ:「導入前に知るべきポイント」が見えてくる

  • RAGは、社内特化・高信頼な生成AIを実現できる技術
  • 情報の正確性・根拠提示など、ビジネス現場に適している
  • ただし、データの準備と運用体制の整備がカギとなる
  • 自社のニーズと課題を見極めて、PoC(試験導入)から始めるのがおすすめ

Best regards, (^^ゞ