Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

第2回:RAGとは?社内データとAIをつなげる技術

Hello there, ('ω')ノ

「生成AIが答えられないこと」がある?

前回の記事では、ChatGPTのような生成AIの活用が進む一方で、「社内の情報には答えられない」という課題についてお話ししました。

たとえば、こんなケースを想像してみてください。

🔸 営業担当が「A社との過去のやり取り」を調べたい
🔸 経理担当が「支払いフローの詳細」を確認したい
🔸 法務部が「過去の契約条件の例」を探している

でもChatGPTに聞いても「その情報はわかりません」と返ってくる……。
それもそのはず。ChatGPTは社内情報を知らないのです。

では、どうすればAIに社内情報を教えられるのでしょうか?

そのカギを握るのが、RAG(検索拡張型生成)という仕組みです。


RAG(検索拡張型生成)って何?

RAGは、英語で Retrieval-Augmented Generation の略です。
言葉だけ聞くと難しそうですが、役割はとてもシンプル。

AI(ChatGPTなど)に社内データを渡して、より正確で自社に合った回答をさせる技術

です。

つまり、「ChatGPTが自社の知識をもとに答える」状態を作るための仕組みがRAGなんです。


どんな仕組みになっているの?

RAGは、以下のような2段構えの処理をしています。

① Retrieval(検索)

社内にあるファイル(PDF、Word、Excel、Wikiなど)をAIが検索できるようにあらかじめ「ベクトル化」という処理をして、意味に基づいて関連情報を探すステップです。

たとえば、「経費申請の手順って?」という質問に対して、経費マニュアルの中から該当部分を見つけ出してくれます。

② Generation(生成)

見つけた情報を、ChatGPTのような生成AIに渡して、「◯◯についてわかりやすく説明して」と依頼します。
その結果、社内文書に基づいた回答が生成されるという流れです。


実際のイメージ図

ユーザーの質問
  ↓
社内データから該当情報を検索(Retrieval)
  ↓
検索結果を元に文章を生成(Generation)
  ↓
▶ 社内データに基づいた答えが返ってくる!

このように、RAGは「社内データを頭に入れたChatGPT」を作るための構成技術だと言えます。


RAGのすごいところ

✅ 1. 社内ドキュメントを“読み込む”AIが作れる

・WordやPDFなどの社内資料をそのまま読み込ませることが可能
・「Aさんに聞かないとわからない」をAIに代替

✅ 2. 最新の情報にも対応できる

・AIが学習していない新しい法律や社内方針などもすぐ反映可能
・再学習(ファインチューニング)より低コスト

✅ 3. 回答の「根拠」を提示できる

・「この情報はこの文書のここから来ています」と出典付き回答が可能
・社内の信頼性向上、業務効率化にも寄与


「RAG」と「普通の生成AI」は何が違う?

特徴 普通の生成AI(ChatGPTなど) RAGを使ったAI
知っていること 訓練データのみ(社外情報中心) 社内データも含めて検索可能
回答の根拠 基本的に提示されない 出典付きで回答可能
カスタマイズ性 低い 非常に高い(部署・役割別に可能)

社内活用の具体例

部門 活用例
営業 過去の提案書・事例集から即時検索
人事 就業規則・福利厚生についてのQ&A対応
情報システム システム手順書をもとに社内問い合わせに回答
経営企画 社内報告資料を要約して意思決定を支援

まとめ:RAGは“社内AI活用”の入り口

  • RAGは「社内情報 × 生成AI」のベストな連携方法
  • ChatGPTが“自社のこと”を理解してくれるようになる
  • 回答の正確性・再現性・信頼性が格段にアップ
  • 情報共有の壁を壊し、業務効率が飛躍的に向上する可能性

Best regards, (^^ゞ