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GPT-4.5:教師なし学習の進化がもたらす、新たなAIの可能性

Hello there, ('ω')ノ

GPT-4.5とは?何が進化したのか?

GPT-4.5は、OpenAIがこれまでに開発した中で最も大規模かつ高性能なチャット向けモデルです。その進化の鍵は、事前学習と事後学習のスケーリングにおける進歩、特に教師なし学習の大幅なスケールアップにあります。

教師なし学習のスケールアップ

OpenAIは、AIの能力を高めるために、「リーズニング(推論)」と「教師なし学習」という2つの重要な要素を強化しています。

  1. リーズニングのスケールアップ: これは、モデルが回答を生成する前に思考の連鎖(Chain of Thought)を学習することで、複雑な問題解決能力を高めるアプローチです。OpenAI o1やOpenAI o3-miniといったモデルがこの分野の研究を進めています。
  2. 教師なし学習のスケールアップ: これは、「世界モデル(現実世界の知識)」の精度と直感を向上させるアプローチです。

GPT-4.5は、コンピューティングリソースとデータの増強に加え、モデルの構造と最適化における革新によって、教師なし学習のスケールアップを実現しました。その結果、幅広い知識と深い世界理解を備え、誤った情報を生成する「ハルシネーション」の頻度が低減し、様々な話題においてより信頼性の高いモデルとなっています。

より自然で、人間らしい対話が可能に

初期テストでは、GPT-4.5との対話がこれまで以上に自然に感じられることが示されています。これは、より広い知識ベースユーザーの意図を汲み取る能力の向上、そして進化した「EQ(心の知能指数)」によるものです。

これにより、GPT-4.5は以下のような多様なタスクにおいて、より強力なサポートを提供することが期待されます:

  • 文章作成の向上
  • プログラミングの向上
  • 実用的な問題解決
  • アイデアを自然に統合し、温かみのある直感的な会話
  • 人間の意図をより正確に理解し、微妙なニュアンスや暗黙の期待を高度な「EQ」で読み取る
  • 美的感覚や創造性を必要とするタスク(特に文章作成やデザインの支援)

実際に、GPT-4.5は、ユーザーが困難な状況を打ち明けた際に、状況を理解し、共感を示すとともに、適切なアドバイスや励ましの言葉をかけることができます。これは、以前のモデルよりも高いEQを備えていることの表れと言えるでしょう。

事実に基づいた回答と創造性の両立

GPT-4.5は、事実の正確性においても優れており、他のOpenAIモデルと比較してハルシネーション(誤った情報の生成)が少ないことが示されています。例えば、特定の絵画に関する質問に対しても、より正確な情報を提供することができます。

さらに、宇宙探査に関する質問に対しては、その価値と重要性を簡潔かつ会話的なスタイルで説明し、地球上の課題解決にも貢献する可能性を示唆しています。

GPT-4.5の利用方法

ChatGPTでの利用 (Proユーザー向け)

現在、GPT-4.5はChatGPT Proプランのユーザー向けに提供されています。これは、GPT-4.5が多くのコンピューティングリソースを必要とするためです。

Proユーザーは、ウェブ、モバイル、デスクトップ版のモデルピッカーからGPT-4.5を利用できます。

GPT-4.5では、以下の機能が利用可能です:

  • 最新情報にアクセスできる検索機能
  • ファイルや画像のアップロード
  • キャンバス機能を使ったライティングやコーディング作業

ただし、現時点では音声モード、動画、画面共有などのマルチモーダル機能には対応していません

APIでの利用 (開発者向け)

GPT-4.5は、Chat Completions API、Assistants API、Batch APIを通じて、すべての有料利用ティアの開発者向けにプレビュー提供されています。

APIでは、関数呼び出し、Structured Outputs、ストリーミング、システムメッセージといった主要な機能に加え、画像入力を活用したビジョン機能もサポートしています。

初期テストの結果、GPT-4.5は特に感情知能と創造性の高さを活かしたアプリケーションに適していることがわかっています。具体的には、文章作成支援、コミュニケーション、学習、コーチング、ブレインストーミングなどの分野での活用が期待されます。また、エージェント的な計画立案や実行能力にも優れており、複数ステップのコーディングワークフローや複雑なタスクの自動化にも対応できる強みを持っています。

ただし、GPT-4.5は非常に大規模で計算負荷の高いモデルであり、GPT-4oよりもコストがかかります。そのため、APIでの長期提供については、実際の利用状況やフィードバックを踏まえて検討される予定です。

より安全なAIを目指して

モデルの能力向上に伴い、より安全なAIを実現するための取り組みも進められています。GPT-4.5では、従来の教師ありファインチューニング(SFT)人間のフィードバックを活用した強化学習(RLHF)に加え、新たな監督手法を取り入れた学習を実施しています。これは、将来のより高度なモデルを適切に調整するための基盤となります。

また、公開前には、Preparedness Frameworkに基づいた一連の安全性テストが実施され、GPTのパラダイムのスケーリングが評価全体において能力向上に貢献していることが確認されています。

今後の展望

GPT-4.5は、応答する前に深く思考するタイプのモデル(リーズニングモデル)ではありません。その強みは、OpenAI o1のようなリーズニングモデルとは異なります。むしろ、より汎用的かつ直感的に賢いモデルと言えるでしょう。

OpenAIは、リーズニングが将来のモデルの中核となる性能であると位置づけており、今後、GPT-4.5のような事前学習による高度な知識と知性を持つモデルが、リーズニングやツール活用能力を持つエージェントの、より強固な基盤となることが期待されています。つまり、事前学習とリーズニングという2つのアプローチが、将来的には互いを補完し合い、より高度なAIへと進化していくと考えられます。

まとめ

GPT-4.5は、教師なし学習の最前線を切り拓くモデルであり、その限界を押し広げています。より自然で人間らしい対話、幅広い知識と深い世界理解、そして事実に基づいた正確な情報提供能力の向上は、様々な分野での活用に大きな可能性を秘めています。ChatGPT Proユーザーの皆様はぜひその進化を体験し、開発者の皆様はAPIを通じて新たなアプリケーションの開発に挑戦してみてください。

OpenAIは、皆様の創造力によって、GPT-4.5の新たな能力や想定外の活用方法が発見されることを楽しみにしています。


主要なポイント:

  • GPT-4.5は、OpenAIの最新かつ最も強力なチャット向けAIモデルです。
  • 教師なし学習の大幅なスケールアップにより、幅広い知識、深い世界理解、ハルシネーションの低減を実現しています。
  • より自然で人間らしい対話が可能になり、ユーザーの意図理解や「EQ」が向上しています。
  • 文章作成、プログラミング、問題解決など、多様なタスクでの活用が期待されます。
  • ChatGPT Proユーザーはすぐに利用可能で、APIを通じて開発者もアクセスできます。
  • より安全なAIを目指したトレーニングとテストが実施されています。
  • 将来的には、事前学習とリーズニングの組み合わせによる、さらなるAIの進化が期待されます。

Best regards, (^^ゞ