Shikata Ga Nai

Private? There is no such things.

9-3:リスク評価の進め方

Hello there, ('ω')ノ

サイバーセキュリティのリスクは、「なんとなく怖いから対策する」というものではありません。
限られたリソースを最適に配分するために、リスクの優先度を評価し、戦略的に管理することが重要です。

NISTサイバーセキュリティフレームワーク(NIST CSF)では、「リスク評価(Risk Assessment)」を、セキュリティ対策の基盤として位置づけています。


リスク評価とは?

リスク評価とは、組織が直面するサイバーリスクを特定し、それがどの程度の影響を及ぼすのかを分析するプロセスです。

リスク評価の目的

脅威の種類と影響範囲を特定する
リスクの優先度を決定し、効果的な対策を計画する
経営陣に対して、リスクと必要な投資の説明を行う
リスク許容度(どこまでのリスクを受け入れるか)を明確にする


リスク評価の進め方(5つのステップ)

リスク評価は、以下の5つのステップで進めるのが一般的です。

① リスクの特定(Identify)

まず、どのようなリスクがあるのかをリストアップします。

🚀 確認すべきポイント

  • どのIT資産(サーバー、PC、ネットワーク、クラウドサービス)がリスクを持つのか?
  • どのような脅威(マルウェア、DDoS攻撃、内部不正など)が存在するのか?
  • サプライチェーンの中でリスクになり得る取引先はいるか?

ツールを活用してリスクを洗い出す

  • 脆弱性スキャナー(Nessus、Qualys) → システムの弱点を特定
  • ネットワーク監視ツール(Splunk、Wireshark) → 不審な通信を検出
  • 従業員向けアンケート → 人的リスク(パスワード管理、フィッシング対応)を把握

💡 「何が攻撃対象になり得るのか?」を徹底的に洗い出すことが重要!


② リスクの分析(Analyze)

特定したリスクが、どのように攻撃される可能性があり、どの程度の影響を及ぼすのかを分析します。

🚀 リスク分析のポイント

  • どのような攻撃手法が使われるか?(例:ゼロデイ攻撃、フィッシング詐欺)
  • 攻撃が成功した場合、業務や顧客にどのような影響があるか?
  • 被害額の試算(業務停止時間、データ漏洩コスト、規制罰則など)

リスクの影響度を数値化する

影響レベル 説明 具体例
低(1) ほぼ影響なし 一部の従業員のPCがマルウェア感染
中(2) 限定的な業務影響 社内システムの一部が停止
高(3) 重大な業務停止 顧客データ漏洩、大規模なシステムダウン

💡 定量的な指標を用いることで、リスクの深刻度を可視化!


③ リスクの評価(Assess)

リスクの影響度(Impact)と発生確率(Likelihood)を数値化し、優先順位を決定します。

リスク評価の基本式

[ リスクスコア = 影響度 \times 発生確率 ]

🚀 リスク評価マトリクス(例)

発生確率 ↓ / 影響度 低(1) 中(2) 高(3)
高(3) 3(中) 6(高) 9(最優先)
中(2) 2(低) 4(中) 6(高)
低(1) 1(低) 2(低) 3(中)

リスクスコアの評価

  • 6~9(高リスク)すぐに対策を実施(例:外部公開サーバーの脆弱性)
  • 3~5(中リスク)優先度を決めて対策(例:VPNの設定ミス)
  • 1~2(低リスク)監視を継続(例:一部のPCでパスワードが使い回されている)

💡 影響度と発生確率を定量化することで、対策の優先順位を決定!


④ リスク対応の決定(Respond)

リスクに対して、どのように対応するかを決定します。

🚀 4つの対応戦略

  1. リスク低減(Mitigate) → 追加のセキュリティ対策を実施(例:MFA導入)
  2. リスク回避(Avoid) → そのリスクを発生させる要因を取り除く(例:古いシステムの廃止)
  3. リスク転嫁(Transfer) → 保険や第三者にリスクを移す(例:サイバー保険加入)
  4. リスク受容(Accept) → 影響が小さいリスクは受け入れる(例:一部の非機密データのリスク)

具体例

リスク 対応策 戦略
VPNの脆弱性を悪用した攻撃 VPNにMFAを導入 リスク低減
古いOSの端末がサポート終了 新しいOSにアップグレード リスク回避
ランサムウェア被害の金銭的影響 サイバー保険に加入 リスク転嫁
社内テスト環境での軽微な脆弱性 モニタリングを継続 リスク受容

💡 リスクに対する適切な対応を選択し、リソースを最適に活用!


⑤ リスクの継続的な監視(Monitor)

リスク評価は一度実施したら終わりではなく、定期的に見直すことが重要です。

監視・改善のポイント

  • 定期的にリスクアセスメントを実施(半年~1年ごと)
  • 新たな脆弱性や脅威が発生した場合、即座に再評価
  • リスク対応策が有効に機能しているか検証(ペネトレーションテスト実施)

💡 サイバー攻撃は常に進化しているため、リスク評価も継続的にアップデートが必要!


まとめ

リスク評価は「特定→分析→評価→対応→監視」の5ステップで実施
リスクの影響度と発生確率を数値化し、優先順位を明確にする
リスクに応じた適切な対応(低減・回避・転嫁・受容)を決定
定期的にリスク評価を更新し、最新の脅威に対応する

Best regards, (^^ゞ