Shikata Ga Nai

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7-1:インシデント対応計画とは

Hello there, ('ω')ノ

サイバー攻撃はいつ、どこで発生するかわからないものです。攻撃を完全に防ぐことが難しい以上、「攻撃を受けた後、いかに迅速かつ適切に対応するか」が極めて重要になります。

NISTサイバーセキュリティフレームワーク(NIST CSF)の「対応(Respond)」機能では、インシデントが発生した際に、事前に定めた手順に従って迅速に対応できるようにすることを推奨しています。そのためには、「インシデント対応計画(Incident Response Plan, IRP)」を作成し、緊急時の行動を明確にしておくことが不可欠です。


なぜインシデント対応計画が必要なのか?

1. 迅速な対応で被害を最小限に抑えられる

対応が遅れると、被害が拡大する可能性が高い
事前に決めた手順に従えば、冷静に対処できる

🚨 例:ランサムウェア攻撃の対応の違い

  • 計画なし → 侵入経路が特定できず、バックアップも未整備のため、業務停止が長期化
  • 計画あり → すぐにネットワークを隔離し、バックアップからシステムを復旧、被害を最小化

💡 緊急時に混乱せず、迅速に対応できるようにするために、インシデント対応計画が必要!


2. 法的・規制対応を適切に行うため

個人情報漏洩が発生した場合、法的な報告義務がある場合が多い(GDPR、個人情報保護法など)
報告が遅れると、企業の信用低下や罰則のリスクが高まる

🚨 例:データ漏洩対応の失敗

  • 計画なし → 発生後に対応方針を検討し、報告が遅れたため、罰則を受ける
  • 計画あり → すぐに規制当局や顧客へ報告し、信用を維持

💡 事前に対応手順を決めておけば、適切な報告・対処が可能!


3. 企業の信頼を守るため

サイバー攻撃を受けたとしても、適切な対応をすれば、顧客や取引先の信頼を維持できる
透明性のある対応を行えば、企業イメージの回復が早まる

🚨 例:セキュリティ侵害への対応の違い

  • 計画なし → 公式発表が遅れ、被害者対応が後手に回り、顧客の不信感が増大
  • 計画あり → すぐに状況を公表し、適切なサポートを提供したことで信頼を維持

💡 計画があることで、危機管理能力の高さを示し、企業のブランド価値を守ることができる!


インシデント対応計画(IRP)の作成手順

① インシデント対応チーム(CSIRT)の編成

まず、インシデント対応を主導するチームを決めます。

主な役割

役割 担当者の例 主な責任
インシデント対応責任者 セキュリティ責任者(CISO) 対応全体の指揮・最終判断
技術チーム IT部門・SOC(セキュリティオペレーションセンター) 被害調査・システム復旧
広報・法務 広報部・法務部 公的機関・顧客への報告対応
経営陣 CEO・CIO 企業戦略レベルでの意思決定

💡 各担当者の役割を事前に明確にしておくことで、緊急時の混乱を防ぐ!


② インシデントの分類と対応フローの作成

インシデントの種類ごとに、対応の流れを決めておきます。

インシデントのレベル

レベル 影響範囲 対応方針
限定的な影響 社員1人のアカウント不正使用 IT部門が個別対応
一部業務に影響 社内システムの一部障害 CSIRTが調査・対応
企業全体に影響 ランサムウェア感染 緊急対応チームを招集し、経営陣と協議

🚨 例:ランサムウェア攻撃対応フロー

  1. 検知 – EDRやSIEMが異常を検出し、IT部門へ通知
  2. 初動対応 – 影響範囲を特定し、感染端末をネットワークから隔離
  3. 原因調査 – 侵入経路を特定し、再発防止策を検討
  4. 復旧 – バックアップからデータを復元し、システムを再構築
  5. 報告 – 必要に応じて規制当局や顧客へ報告

💡 攻撃の種類ごとにフローを作成しておくことで、迅速な対応が可能!


③ 連絡体制と報告ルールの策定

インシデント発生時、どのように連絡を取るかを明確にしておく必要があります。

社内連絡の優先順位

  1. IT部門・SOC(技術対応チーム)
  2. セキュリティ責任者(CISO)
  3. 経営陣(必要に応じて)
  4. 広報・法務(外部対応が必要な場合)

外部報告のルール

対象 報告が必要なケース 報告先
規制当局 個人情報漏洩 GDPR、個人情報保護委員会
顧客 影響を受ける可能性がある場合 企業の公式発表
取引先 サプライチェーンに影響がある場合 直接通知

💡 事前に報告フローを決めておくことで、対応がスムーズになる!


④ 訓練と継続的な改善

インシデント対応計画は、一度作成したら終わりではなく、定期的に見直し・訓練を行うことが重要です。

年に1回以上、インシデント対応訓練を実施(机上演習、実践型訓練)
過去のインシデントを振り返り、計画を改善
最新のサイバー脅威に対応できるよう、計画をアップデート

💡 「計画→実施→改善」のサイクルを回し、常に最適な対応を維持する!


まとめ

インシデント対応計画を作成し、迅速な対応ができる体制を整える
対応チーム(CSIRT)を編成し、役割を明確化する
インシデントのレベルごとに対応フローを作成する
社内外の連絡ルールを決め、スムーズな情報共有を確保する
定期的な訓練を実施し、継続的に計画を改善する

Best regards, (^^ゞ