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コードインジェクションや特権昇格は、システムやアプリケーションに対する攻撃で広く利用される手法です。これらの脆弱性を効果的に探し出し、悪用される前に修正することは、セキュリティの確保において非常に重要です。
1. コードインジェクション
概要: コードインジェクションは、アプリケーションが外部から入力を受け取って動的にコードを生成・実行する際に、攻撃者が悪意のあるコードを挿入して実行させる攻撃手法です。
主な種類:
SQLインジェクション:
- 概要: 攻撃者がSQLクエリに悪意のある入力を挿入し、データベースに対する不正操作を行う攻撃。
- 手法:
- 手動テスト: クエリにシングルクオート(
'
)やSQL文(例:OR 1=1
)を挿入して、予期しない動作を確認します。 - 自動ツール: SQLmapを使用して、SQLインジェクションの脆弱性を自動的に検出し、データベース情報を抽出。
- コマンド例:
sqlmap -u "http://example.com/vuln.php?id=1" --dbs
- コマンド例:
- 手動テスト: クエリにシングルクオート(
- 対策: パラメータ化されたクエリ(プリペアドステートメント)を使用し、入力値のサニタイズを徹底。
コマンドインジェクション:
- 概要: アプリケーションが外部からの入力をシェルコマンドとして実行する際に、悪意のあるコマンドを挿入して実行させる攻撃。
- 手法:
- 手動テスト: ユーザー入力部分に
;
や&&
などのシェルメタキャラクターを挿入して、シェルコマンドの実行を試みます。 - 自動ツール: OWASP ZAPやBurp Suiteを使用して、コマンドインジェクションの可能性がある箇所をスキャン。
- 例:
ping -c 4 example.com
の入力に; ls -la
を追加し、システム上のファイルリストを表示させる。
- 例:
- 手動テスト: ユーザー入力部分に
- 対策: シェルコマンドの直接実行を避け、入力値のサニタイズとバリデーションを行う。
HTML/JavaScriptインジェクション(クロスサイトスクリプティング、XSS):
- 概要: Webページに悪意のあるJavaScriptコードを挿入し、ユーザーのブラウザで実行させる攻撃。
- 手法:
- 手動テスト: 入力フィールドに
<script>alert('XSS')</script>
などのJavaScriptコードを挿入し、ブラウザでの実行を確認します。 - 自動ツール: Burp SuiteのActive ScannerやOWASP ZAPを使用して、XSSの脆弱性をスキャン。
- 手動テスト: 入力フィールドに
- 対策: 入力データのエスケープ、Content Security Policy (CSP)の設定、HTTPOnly属性をつけたクッキーの使用。
例:
- コマンドインジェクションの検出と悪用: Webフォームで http://example.com/ping?host=example.com
に対して http://example.com/ping?host=example.com;ls
と入力し、サーバー側で ls
コマンドを実行させ、ディレクトリ内容を表示させる。
2. 特権昇格
概要: 特権昇格は、システムで通常は制限されたアクセス権限を持つユーザーが、より高い特権(例: 管理者権限)を不正に取得する攻撃手法です。
主な種類:
垂直特権昇格:
- 概要: 通常のユーザーが管理者権限を取得すること。
- 手法:
- ローカルファイルインクルージョン(LFI): 悪意のあるファイルを読み込ませることで、システムファイルにアクセスし、特権を取得します。
- 脆弱なサービスやドライバの悪用: システムに存在する脆弱なサービスやドライバを悪用し、特権を昇格します。
- ツール: MetasploitやWindowsの
schtasks
コマンドを使用して、スケジュールされたタスクを管理者権限で実行する。- コマンド例:
schtasks /create /tn mytask /tr "cmd.exe /c net user admin /add" /sc onstart /ru system
- コマンド例:
- 対策: アクセス制御リスト(ACL)を適切に設定し、不要なサービスやドライバを無効化、システムの定期的なアップデートを実施。
水平特権昇格:
- 概要: 同じ特権レベルの他のユーザーのアカウントに不正にアクセスすること。
- 手法:
- セッションIDの予測や固定: 弱いセッション管理を悪用し、他のユーザーのセッションIDを取得して、不正にログインします。
- インジェクション攻撃: アプリケーションでのパラメータ不正操作により、他のユーザーのデータにアクセスします。
- 例:
http://example.com/user?account=123
をhttp://example.com/user?account=456
に変更し、他のユーザーの情報を取得。
- 例:
- 対策: セッション管理の強化(セッションIDの長さや複雑性、定期的なID変更)、パラメータ化クエリの使用。
例:
- 垂直特権昇格の実施: Metasploitを使用して、Windowsの脆弱なドライバを悪用し、通常のユーザーからシステム管理者権限に昇格します。
- コマンド例:
msfconsole > use exploit/windows/local/ask
で脆弱なアプリケーションを選択し、エクスプロイトを実行。
- コマンド例:
まとめ
コードインジェクションと特権昇格は、システムの深刻な脆弱性を狙う攻撃手法です。これらの脆弱性を検出し、適切に対処することで、システム全体のセキュリティを強化できます。ペネトレーションテストやセキュリティ監査において、これらのテクニックを駆使して、潜在的なリスクを早期に発見し、対応することが求められます。
Best regards, (^^ゞ